短歌ください(穂村弘著)角川文庫

よう、最近エアコンが故障したが気合いと毎日朝食をしっかり食べて乗りきった張飛だ❗(忙しかったり、なかなか食欲がわかない朝は卵かけご飯だけでもかなり栄養補給できるらしい)

今月はなんと3つの媒体で俺の短歌が掲載されたから、最初に紹介させてほしい。まずは、7月6日(木)の産経新聞の産経歌壇 (小島ゆかり選)に掲載された短歌がこれだ❗

石井啄也というのが俺のペンネームだ。(琢也は誤りで正確には啄也)この短歌は、以前このブログで紹介した『土佐日記』を読み終えて作った短歌だ。(『土佐日記』の記事はこちら↓)

土佐日記(全) ビキナーズ・クラシックス 日本の古典(紀貫之著・西山秀人編)角川ソフィア文庫

『土佐日記』を読んでいると、部屋にいながら平安時代にタイムスリップして紀貫之と一緒に船旅をしているような贅沢な気持ちになれたんだ。

次に、7月15日(土)の日本経済新聞の日経歌壇(穂村弘選)に掲載された短歌がこれだ❗

夜中に走っている回送列車を見ていると、人が乗っていないかわりに光を運んでいるように見えたんだ。さっきの『土佐日記』の短歌は1、2時間くらいでほとんど推敲せずに作れたがこの短歌は推敲に苦労して10回くらい書き直してしまった。

そして、月刊うたらば の7月号(お題は「旅」)に掲載された短歌はうたらばのホームページでぜひ読んでみてほしい❗(うたらばのホームページはこちら↓)

https://www.utalover.com

この短歌は、以前「短歌ください」に投稿して不掲載だった短歌を自分なりにどこが悪かったか検討して作りなおした短歌だ。

以前このブログでとりあげた『ぼくの短歌ノート』という本で穂村弘が大西民子という歌人の短歌を紹介していて、日常をドラマ化させる彼女の短歌がかっこよくて、自分の短歌にもその良さを取り入れたいと思いながら作った短歌なんだ。(その時の記事はこちら↓)

ぼくの短歌ノート(穂村弘著)講談社文庫

俺の短歌を選んでくれた選者の人たちに心から感謝したい。

そして、もう一つ嬉しいことがあった。読書アプリ「ブクログ」の友達、☆ベルガモット☆の短歌が雑誌『NHK短歌』の2023年7月号で佳作として掲載されたんだ。これだ❗

丘越えて君の街まで歩き出す縄文人のような速さで

『NHK短歌』2023年7月号 川野里子選 題「歩く/歩む」(NHK出版)

「縄文人のような」という比喩がとても斬新で面白い。『NHK短歌』の2023年8月号で歌人の吉川宏志がこんなことを書いていた。

比喩を用いるときは、冒険をするつもりで、直感(ぱっと思い浮かんだイメージ)を生かして歌うことが大切です。ありきたりの比喩なら、使わないほうがいい。

『NHK短歌』2023年8月号(NHK出版)

ベルガモットの短歌からは、比喩で冒険することの大切さを教えてもらった気がする。ベルガモット、おめでとう❗

じゃあ、今日もおすすめの本を紹介するぞ❗

一般の人達の短歌を穂村弘が鮮やかに講評する実践的短歌入門書の文庫版

こんな奴におすすめ❗

  • 一般の人たちの面白い短歌を読みたい奴
  • 優れた短歌をプロの歌人の解説つきで読みたい奴
  • 「短歌ください」に投稿している奴(もしくはこれから投稿しようと思っている奴)

概要

本の情報誌「ダ・ヴィンチ」の読者投稿企画 「短歌ください」 に寄せられた短歌の中から優れた短歌を人気歌人の穂村弘 が選び出す。短歌の魅力を際立たせる著者の解説も素晴らしくて、短歌を作る際の参考にもなる。そういう意味では短歌を詠もうとしている人たちにとっては実践的な短歌入門書ともいえる。

では、早速いくつか短歌を紹介しよう。

コンビニで聞こえた遅刻の言い訳が「尾崎にバイクを盗まれました」

(チョビ・男・25歳)

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

そういえば、尾崎豊の「十五の夜」の中に「盗んだバイクで走り出す」って歌詞があったなあ。純粋にユーモアがあって面白い。

バイキング誰も並ばぬ一品を浮かび上がらすトングの光り

(ヒポユキ・男・44歳)

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

この短歌に対しての著者の解説がとても印象的だったのでそちらも紹介したい。次のように書いていた。

写実的な表現に徹することで、全体がメタファーとして〈それ以上の何か〉を浮上させてくる。例えば、誰にも選ばれない〈私〉自身の孤独とか。

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

メタファーとは、隠喩(いんゆ)のこと。「~のようだ」などの、比喩であることを示す言葉を使わずに「人生は旅だ」などとたとえだけを言う比喩の手法。言い切る形になる。

隠喩は、比喩だとわかる言葉がないのでいかに読む人に伝わるようにするかという点がポイントになりそうだ。

電子レンジは腹に銀河を棲まわせて静かな夜に息をころせり

(陣崎草子・女・31歳)

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

詠んでいる風景としては、夜に電子レンジを使っているだけだと思うが、それがこんな素晴らしい短歌になるのが驚きだ。特に「銀河を棲まわせて」という表現が使用中の電子レンジの中の雰囲気にぴったりな気がする。

さきほど触れた大西民子の短歌を思わせるようなドラマチックな短歌だ。

じいちゃんは、白目と黒目の境目が曖昧になった目で座ってる

(いさご・女・19歳)

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

描写がすごく細かくて、なかなか書けない短歌だと思う。今までこんな短歌を詠んだことがないし、難しいと思うがこんな短歌も詠んでみたい。そう思わせてくれた素晴らしい短歌。

午後28時の人と隣り合い電車に揺られている午前4時

(亜にま・女・20歳)

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

「午後28時」ということはおそらく夜勤が終わって電車で帰っているのだろうか。それに対して「午前4時」というのはかなり早起きして電車に乗ったのだろう。

以前、朝日歌壇の選者の人が言っていたが、だいたい上の句(最初の五七五)を読めば良い短歌かそうでない短歌かはわかると言っていた。この短歌を一読した時に最初の「午後28時」という表現が読む人を惹き付ける力を持っているような気がした。続きを読んでみたくなるというか。

こんなにもしあわせすぎる一日は早く終わって思い出になれ

(ひろ・女・19歳)

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

この短歌は去年のダ・ヴィンチ12月号でも穂村弘が紹介していた。「しあわせすぎる」時間は、早く思い出にしてあとで振り帰って楽しみたいという感覚は凄くわかる気がする。

四年間使い続けたケータイの機種変更はすぐに終わった

(月下燕・男・37歳)

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

地味な短歌なんだけど、ボディブローのように効いてくる短歌。感性がとても鋭くないと作れない短歌だと思う。最近、15年間使い続けたエアコンが壊れたんだが、新しいエアコンが取り付けられたのを見てこの短歌を思い出した。

まとめ

紹介した短歌以外にも良い短歌がいっぱいあって心からおすすめしたい本だ。比較的若い世代の人の短歌が多くて、著者も書いているように定型から外れている短歌も多いが、とにかく発想が素晴らしい短歌ばかりなのでとても触発をうける。

それと、お題がある短歌について著者がこんな事を書いていて印象に残った。

どんなテーマでも、最初から「だよね」と思われるのは困る。それは予め知っていることを云われた読者が同意しただけで、本当の共感とは違います。まず読者が思ってもみなかった切り口を提示して、そこから真の共感を獲得したい。

『短歌ください』穂村弘著(角川文庫)

俺の読解力が未熟なのでわかったようなわからないような、そんな感じだがじっくり読んで自分の中で消化していきたい。

最後に

今月は愛媛県の松山に旅をしようと思っていた。万葉集に出てくる好きな和歌の歌碑があることを知ったからだ。しかし、都合が悪くなってしまって来月以降に延期になった。

そこでかわりに、ドライブがてら香川県の高松市にある面白い自販機を見に行ってきた。以前紹介した「三流コーヒー自販機」も面白かったが、今回見た自販機も面白かった。実はどちらの自販機もテレビ番組「ナニコレ珍百景」で紹介されたことがあるんだ。(「三流コーヒー自販機」の記事はこちら↓)

たんぽるぽる(雪舟えま著)

今回見た自販機はこれだ❗

「ヤマウチセルフ」というガソリンスタンドの敷地内にあるガソリンの給油機のような自販機だ❗

ちなみに、この自販機についている給油ノズルは固定されていて動かない。ただの飾りになっている。

そして、正面にある給油ノズルもただの写真だ。右側のキャップ置きも同様である。遠くから見ると本物に見えた。こんな自販機をガソリンスタンドに設置するという遊び心が素晴らしい。

そして、帰り道に何年ぶりかで「びっくりドンキー」に行ってきた。香川県にあるびっくりドンキーは、高松市にある2店舗のみだからなかなか行く機会がないんだ。

食べたのは王道の「チーズバーグディッシュ」だ。(写真のハンバーグは300g)相変わらずとても美味しかった。20年くらい前に東京のびっくりドンキーに行った時は、「メリーゴーランド」という底に白玉が入っているパフェのようなデザートがあってそれがめちゃくちゃ美味しかったんだが、今はメニューにないようだ。

ともあれ、半日ほどのドライブだったが楽しめて良かった。

松山には年内には行って旅行記をブログにアップしたいと思う。

じゃあな。

(次回は、8月27日(日)に更新予定)

4 件のコメント

  • 張飛さん、おはようございます♪

    日経歌壇、産経歌壇、うたらば掲載おめでとうございます!
    いつもながら凄いですね。
    日経歌壇の歌は1時間くらいで詠まれたのですね。
    産経歌壇の歌は推敲するのに時間がかかったのですね。
    他の歌人の方がどのように歌を詠まれているかなんて知る機会はなかなかないので参考になります。
    (ベルガモットさんも色々と親切ですが)
    『短歌ください』は私も単行本で買って持っています。
    数年前、穂村弘さんが山形にいらしたとき講座に出るために予習として買いました。
    面白い歌が載っていた記憶があります。
    そのうちちゃんと読んでレビューしたいと思っていますが。

    暑いですね!
    山形も昨日は37度越えでした。
    どうぞ、ご自愛してお過ごしください。

    • まこと、ブログ読んでくれた上にコメントもくれてありがとう!

      短歌を作るときに、詠む内容は決まってもそれがうまく五七五七七に収まらない時が多いんだ。そんな時はパズルをするみたいに語順を入れ換えてみたり、言葉を似た意味だけど音数の違う別の言葉にしてみたりして(例えば、「きみ」を「あなた」にしたり、その逆にしてみたり)定型に収まるように考えてる。

      それでも、字余りとかにどうしてもなってしまう時もあるが、苦労した分うまく定型におさまった時はパズルが完成したみたいな感じで凄く嬉しい。参考になったようでとても嬉しいぜ!次回のブログもなんとか短歌作りの参考にしてもらえるブログにできるように頑張りたい!

      この本をまことも持っているんだな!まことのレビューも凄く楽しみだ!

      山形は37度か!香川県も昨日は異常な暑さで今週も全国各地で40度に迫る暑さみたいだが、まことも睡眠をしっかりとったり、なるべく外出を朝夕の涼しい時間帯だけにするなど健康に十分に気をつけて過ごしてくれ!

  • 張飛さん、3つの媒体での掲載、おめでとうございます!!!
    船や列車、旅などのキーワードが印象的効果的に詠まれていて、心の中にぱっと世界が広がる感じですね。
    私の縄文人歌の紹介もありがとうございます☆

    こんな猛暑日が続く中エアコンが故障って大変ですね。早く直るといいですね。
    ナニコレ珍百景でも紹介されるとは凄い自販機ですな。楽しいブログで旅をした気分になります。

    • ベルガモット、ブログを読んでくれた上にコメントもくれてありがとう!

      心のなかにぱっと世界が広がる感じ、と感じてくれてとても嬉しいぜ!なるべく、読んでくれる人の心に短歌の情景が鮮やかに浮かぶような短歌を目指してこれからも短歌作りに励んでいきたい!

      エアコンは今は新しいエアコンに変えたから快適に過ごせてるぜ。なんとか死なずにすんで良かったよ!

      自販機の記事も楽しんでもらえたようで嬉しい!愛媛県にも気になってる珍しい自販機があってまだ行ったことがないから、歌碑を見に行った時にそこにも立ちよろうと思ってる。また楽しんでもらえる旅日記も書けるよう頑張るぜ!暑い日が続くがベルガモットも、睡眠や食事をしっかりとって体に十分気をつけて過ごしてくれ!

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