しびれる短歌(東直子、穂村弘著)ちくまプリマー新書

よう、最近車の自賠責保険と任意保険の証書を紛失しちまった張飛だ❗(その後、無事発行してもらえた)

最初に、8月10日(木)の産経新聞の産経歌壇 (小島ゆかり選)に俺の短歌が掲載されたから、紹介させてくれ。これだ❗

石井啄也というのが俺のペンネームだ。俺の母親は、網膜色素変性症という目の病気があって一人で買い物するのが難しいから買い物に行く時はだいたい俺がついていってる。その時の自分が、首相などの要人のまわりで警護しているエスピーみたいに感じられて詠んだ短歌だ。

俺の短歌を採用してくれた選者に心から感謝したい。

そして、他にも嬉しいことがあった。読書アプリ「ブクログ」の友達、☆ベルガモット☆と、5552の短歌が雑誌『短歌』、『NHK短歌』に佳作として掲載されたんだ❗

まず、ベルガモットの短歌がこれだ❗

那覇発で外国だった宮崎へ父母の寄り添う新婚写真 (小黒世茂選)

二の腕の柔肌に似た卵ぼうろ指でつまめば母のぬくもり (一ノ関忠人選)

『短歌』 2023年6月号 角川文化振興財団

ブクログのコメントによると、沖縄の復帰前は県外移動にパスポート持参だったそう。上の句でははっとさせられる驚きがあり、下の句の「寄り添う」からベルガモットのお父様、お母様の仲睦まじい様子が想像されてとても温かな気持ちになることができた。

二首目は、「卵ぼうろ」から「母」の「二の腕」への連想に意外性があって、そこにベルガモットのお母様への深い愛情を感じることができた。「卵ぼうろ」と「母」の「二の腕」という性質の違うものが結びついたところが面白くていいなあ、と感じた。

次に、5552の短歌がこれだ❗

ゆらゆらとホットミルクの湯気が立つ尻尾を揺らす君の幻影(吉川宏志選)

『NHK短歌』 2023年9月号 NHK出版

ブクログのコメントによると、ゆらゆら揺れる「ホットミルク」の「湯気」から「尻尾を揺らす」愛猫の姿を想像したという。その感性が凄いと思うし、愛猫を想う愛情に胸を打たれた。「ゆらゆら」「湯気」「揺らす」とユ行の言葉が響きあっていてそれもいいなあ、と感じた。

ベルガモット、5552おめでとう❗

じゃあ、今日もおすすめの本を紹介するぞ❗

歌人二人が様々な短歌について語る短歌入門書

こんな奴におすすめ❗

  • いろんな歌人の短歌を読みたい奴
  • 短歌についての対談を読みたい奴
  • 一首一首の短歌について解説している本を読みたい奴

概要

この本はブクログの友達、まことのレビューを読んで面白そうだと思って読んだ。8章あって恋、食べ物、動物、固有名詞の歌など様々な短歌について東(ひがし)直子、穂村弘という二人の有名歌人が語りあっている短歌入門書だ。

この本で紹介されている短歌のなかには、読んだだけでは意味がはっきりわからない難しい短歌もあるが、二人が対談形式で一首一首の短歌について解説していて面白い。解説を読んで「なるほど、そういうことか」とハッとさせられることも多い。

またこの本の最後には、「歌人ってどうやってなるの?」という対談が付録としてあって、二人の実体験をもとにした話が読めてそっちも興味深かった。

じゃあ、章ごとに一首ずつ短歌を紹介したい。まずは、第1章「やっぱり基本は恋の歌」からはこの歌だ。

箸立てにまだ立ててある妻の箸かたりと動く箸取るたびに

岩間啓二

『しびれる短歌』東直子、穂村弘著(ちくまプリマー新書)

「まだ」という言葉が、暗示的で「妻」がもういないということが想像できる。この短歌についてこう解説されている。

箸が動くと書いてあるだけで、直接的な感情の記述はないのに、それが表現されているのがいい。

『しびれる短歌』東直子、穂村弘著(ちくまプリマー新書)

箸が動くという描写によって、著者の寂しさを表現しているということ。確かに、寂しいという言葉が入っていたら伝わりやすいかもしれないが、想像する余地がなくなって読む人の興を削いでしまうかもしれない。

第二章「食べ物の歌には魔法がかかっている」からはこの歌。

かへりみちひとりラーメン食ふことをたのしみとして君とわかれき

大松達知(おおまつたつはる)

『しびれる短歌』東直子、穂村弘著(ちくまプリマー新書)

これは、恋人との別れ際に思ったことだと思うが、通常の恋愛の短歌とは違った切り口で面白い。きっとこういう事を考えている人もたくさんいるとは思うが、今まで短歌にはなっていなかった心情かな、と思う。

この短歌のように、自分にとってのちょっとした楽しみや感動も短歌になるということと、あるテーマを詠むときに切り口の斬新さも大切だと感じた。

そして、 第三章「いまがわかる!家族の歌」からはこの歌。

いもうとの小さき歩みいそがせて千代紙かひに行く月夜かな

木下利玄

『しびれる短歌』ちくまプリマー新書(東直子、穂村弘著)

木下利玄は近代に活躍した歌人らしい。今だったら、夜に千代紙を買いにいくことはなさそうだが当時は子供たちが千代紙で遊んでいたのかもしれない。「月夜」という言葉が入ることで、全体が神秘的な雰囲気になって状況がありありと目に見えるようだ。

そして、第四章「イメージを裏切る動物の歌」からはこの歌。

好きなのかあんなところが自転車のサドルにいつも乗っている猫

池本一郎

『しびれる短歌』ちくまプリマー新書(東直子、穂村弘著)

ユーモアのある短歌で面白い。この短歌についてはこう解説されている。

東 「好きなのかあんなところが」で始まるという、構造が大事です。「自転車のサドルにいつも乗っている猫好きなのかあんなところが」では成立しない。

穂村 最後の一文字まで何かわからないっていうところが、ポイントなのね。

東 そこに茶目っ気があって面白い。自転車は人間の道具だし、この出だしだと、人間のことかと思ったら猫のことだったという。

『しびれる短歌』ちくまプリマー新書(東直子、穂村弘著)

この短歌の魅力をとても分かりやすく丁寧に解説してくれていて勉強になった。

第五章「人生と神に触れる時間の歌」からは、次の歌を紹介したい。

いつの日か咬まれることになるかもと思いつつ逃がす赤ちゃんムカデ

赤川次男

『しびれる短歌』ちくまプリマー新書(東直子、穂村弘著)

この歌は、とても共感できる短歌だ。なんとなく赤ちゃんだと、どんな生き物でも殺してしまうのは可哀想な気持ちになる気がする。それがムカデとかヘビだとしても。

第六章「豊かさと貧しさと屈折と、お金の歌」からは、この短歌。

1千万円あったらみんな友達にくばるその僕のぼろぼろのカーディガン

永井祐

『しびれる短歌』ちくまプリマー新書(東直子、穂村弘著)

永井祐という歌人はお金の歌をたくさん詠んでいるそうだ。この短歌についてはこう解説されている。

もしかしたら宮沢賢治はこうだったかもしれないよね。宮沢賢治は貧しい場所と時代の人だけど、本人の家はお金持ち。教え子が貧しくて着るものがないと、自分の上着を貸してやったりしている。自分だけお金持ちでも、全員が幸福になれなければ幸福ではないみたいな理想がある。

『しびれる短歌』ちくまプリマー新書(東直子、穂村弘著)

この歌に関しては、本気で詠んだ短歌かどうかってところで読む人によって感じ方が違うと思うが、俺は本気で詠んだ歌だと感じるし、この短歌を詠んだ歌人のこういう人間でありたいという気持ちを詠んだ短歌だと思っている。

余談だが、宮沢賢治は劉備兄貴に考え方が似ている気がするなあ。曹操の率いる大軍から逃げている時に、民衆が劉備兄貴のことを慕ってついてきたことがあるんだがその時、孔明は曹操に追い付かれるから民衆を置いて逃げるように進言した。(非情なようだが当時としてはおそらくこの選択が普通)

しかし、劉備兄貴は自分を慕う民衆を絶対に置き去りにしないといって民衆を連れて逃げる決断をしたんだ。そういう優しいところが似ている気がする。

話が少しそれたが、第七章「いつかわからなくなるのかもしれない固有名詞の歌」からはこの歌。

愛してくださっているのですかと耳を疑った、舟さんの声

横山ひろこ

『しびれる短歌』ちくまプリマー新書(東直子、穂村弘著)

「舟」はサザエさんの登場人物で、波平の妻。甘い言葉を言わなさそうな波平がふと「愛してる」と言ったその事に舟が耳を疑った、ということだろう。想像すると、とても面白い。誰もが知っている国民的人気アニメだからこそ成立する短歌。

第八章 「表現の面白さだってある、トリッキーな歌」 からは、この歌を紹介したい。

(7×7+4÷2)÷3=17

杉田抱僕

『しびれる短歌』ちくまプリマー新書(東直子、穂村弘著)

これは読むと五七五七七になっている。カッコなな、かけるななたす、よんわるに、カッコとじわる、さんはじゅうなな。発想力が凄いなあ、と思った。俺も一度は、こんなトリッキーな短歌も作ってみたい。

そして、この本の最後には付録一として「歌人ってどうやってなるの?」、付録二として東直子と穂村弘がお互いの作風を真似して短歌を作った「真似っ子歌」も収録されている。

「歌人ってどうやってなるの?」では主に二人が歌人となるまでの過程を語りあっている。

まとめ

この本は、短歌に興味を持ち始めたばかりの人でも、短歌をすでに作り始めている人でもどちらの人でも楽しめる本だと思う。

紹介した本以外にも面白い短歌や、ためになる解説があって勉強になった。それと、同じ短歌でも対談している二人の間で読みとり方や感じ方が違う場合もあってそのあたりも興味深かった。対談形式で書かれたこの本の最大の魅力はそこかもしれねえ。

最後に

歌人の道浦母都子(みちうらもとこ)は、短歌を始めた時に師匠から、良い辞書と植物図鑑を求めるように、というアドバイスを受けたという。それ以来、彼女は名前の知らない花を見ると帰宅して図鑑を見るようにしていて、今もその習慣は続いているらしい。

俺も、その習慣を真似しようと思って早速花図鑑を買った。この本だ。

「新 散歩の花図鑑」という本だ。早速、近所で見かける花を図鑑で調べてみた。

通勤中に、道路脇に咲いているのをよく見かけるこの花。

ユリの仲間で、 シンテッポウユリ というらしい。(似た花にテッポウユリというのがあってそっちの可能性もある)この花は、各地で野生化しているそう。この花にすごく似ていると思ったのが、郵便はがきのイラストに描かれているこの花。

調べると、この花はヤマユリ。里山の雑木林に生えている野生のユリ。ちなみに、胡蝶蘭のイラストの郵便はがきもある。そしてインクジェット紙のイラストは、ヤマザクラと胡蝶蘭。(インクジェット紙というのは、文字を印刷する時に鮮やかに文字が印刷できる)

喪中はがきを送る時は、イラストが胡蝶蘭になっているはがきで送るそうだ。

そして、この花も道路脇で咲いていた。とても小さい。

この花は、ヒメジョオン。(たぶん。ヘラバヒメジョオンの可能性もあり)葉っぱに、鋸歯(きょし)というギザギザがある。

この花はツユクサ。花を布につけると青い色が付着する。だから、昔はツキクサと呼ばれていて、それが転じてツユクサとなったらしい。花びらは3枚あるが、そのうち1枚は小さくて目立たない。上向きについている青い2枚の花びらはわかりやすいが、もう1枚は下向きについていて色は白っぽい。

公園に植えていたこの花は調べなくても、一目でペチュニアだとわかった。以前、育てていたから。

これからも、名前のわからない花があれば調べていきたいと思う。四季のいろんな花を見るのが楽しみになった。

そして、ペチュニアを植えていた公園というのがここだ。

史跡高松城跡(たかまつじょうあと) 玉藻公園だ。最近行ってきたがとても楽しいひとときを過ごせたので次回のブログで紹介したい。

じゃあな。

(次回は、9月24日(日)に更新予定)

2 件のコメント

  • 張飛さん、こんにちは♪

    私のスマホは今、故障中なんですが、確か月末は張飛さんのブログが更新される日だったのを思い出し、パソコンのお気に入りからきました。お気に入りにいれておいて本当によかったです。
    私は、ブクログが日課なので、どなたのレビューも読めないと凄く淋しい思いをします。

    産経歌壇、またもや掲載おめでとうございます!
    お母様のSPとは頼もしい張飛さんですね!

    今日のレビューは私のレビューを読んで、読んでくださったとあり大変嬉しく思いました。
    この本は解説付きなので短歌初心者の私にはうってつけの本でした。
    こういう、本がもっとたくさんあると嬉しいのですが。
    私には難解な短歌が数多くあります。
    どうやったらわかるようになるのでしょうね。
    感性の磨き方はわかりませんが、数をこなすことや、同じ歌を読む回数を増やすことはあるのかなあ。

    • まこと、俺のブログの更新日を覚えていてくれてありがとう!めちゃくちゃ嬉しいぜ!ブログを更新する励みになるよ!

      この本は、面白かったしとても勉強になったぜ!レビューしてくれてありがとう!

      確かに、新聞歌壇などに載っている一般の人の歌に比べたらプロの歌人の短歌は難しくて意味がわからないことが多いなあ。
      短歌を作り始めた頃に読んだ木下龍也の『天才による凡人のための短歌教室』に歌集を読み通すことを何冊分か繰り返すうちに“短歌のリズムや短歌をつくるうえでの発想の種や構造を頭に刷り込むことができる。わからなかった短歌についても、書かれている文字列は変わらないのに、あなたが変わり、意味が取れるようになる”と書いてあった。

      だから、自分の好きな歌人の歌集やブクログでみんなが紹介してくれている歌集で気になった歌集をコツコツ読んでいってみようと思ってる。

      それと、NHK短歌の8月号の歌人寫眞館で関根裕治という人が感受性が衰えないようにするために、音楽、映画、小説などの短歌以外のジャンルに触れるようにしてると書いていたのが、心に残って普段はあまり見ないんだが最近は映画の「ミッション・インポッシブル」を見たりジャズを聴いてみたり、いろいろ試行錯誤をしている。

      まだまだ暗中模索の日々だが短歌は面白いから、なるべく続けたい。お互い頑張ろうぜ!

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