世界で一番すばらしい俺(工藤吉生著)短歌研究社

よう、酒飲みすぎてねえか❓張飛だ❗

前回のブログから今日までに、俺の短歌が2つの媒体で掲載されたから最初にそれを紹介させてくれ。まずは4月13日(木)の産経新聞の産経歌壇 (小島ゆかり選)に掲載された俺の短歌がこれだ❗

石井啄也が俺のペンネームだ。ここでいう長考は将棋で長い時間考えることで、名人戦などの大きな戦いでは一つの手に1時間以上考えることもある。その長考が短歌の推敲に似ていると感じたんだ。

そして、月間うたらば2023年4月号(お題は「口」)に掲載された短歌も良ければぜひうたらばのホームページで見て欲しい。(下記のURLからうたらばのホームページに移動できる。)

htps://www.utalover.com

この短歌は実際にあった話ではなくて俺の空想を短歌にしてみた。架空の物語の一場面だけを切り取るようにして詠んだ短歌だ。俺の短歌を採用してくれた選者に心から感謝したい。

そして、もう一つ嬉しいことがあった。読書アプリ「ブクログ」の友達の☆ベルガモット☆の短歌が「短歌研究」2023年4月号に佳作(小池光選)として4首も掲載されたんだ。これだ❗

防護服手順忘れた頃合いに疫禍の波が再び迫る

友と会う前に話題の箇条書き閉じ込められた日々の長さよ

賑わいの戻れる居酒屋で集いの後は手を振り合いぬ

朝陽背に隊員が一人懸垂す出動前の消防署にて

「短歌研究」2023年4月号(短歌研究社)

前半の2句は「疫禍の波」や「閉じ込められた日々」といった表現が凄く巧みで、3句めの短歌は友達に会えた喜びと、集いが終わった後の一抹の寂しさの両方を感じることができる。最後の短歌は「朝陽」でぱーっと赤のイメージが広がったところに「懸垂」している隊員の人が登場して名画を見ているような気持ちになれる。その場にいるような臨場感も凄くある。ベルガモット、おめでとう❗

じゃあ、今日もおすすめの本を紹介するぞ❗

工藤吉生の第一歌集

こんな奴におすすめ❗

口語で詠まれた面白い歌集を読みたい奴

概要

歌人工藤吉生の第一歌集。なんと、この歌集は映画化(剛力彩芽主演)されている。木下龍也が著書の『天才による凡人のための短歌教室』でおすすめの歌集のなかの一つとして紹介していたのと、読書アプリのブクログのレビューを読むと面白そうな歌集だと思ったので購入した。

著者の恋愛や交通事故、校舎からの飛び降りなど実体験をもとに詠んだ短歌が多い。これらの短歌も読みごたえがあったが、個人的には歌集の後半に収められている新聞や雑誌に掲載されたという、日常を題材にした短歌に面白い短歌が多いと感じた。

いくつか短歌を紹介したい。

傘を振り落ちないしずくと落ちるしずく何が違っているのでしょうか

「世界で一番すばらしい俺」工藤吉生著(短歌研究社)

確かに、傘を閉じる前などにしずくを落とそうとして傘を振ると全部落ちるわけじゃなくて、落ちないしずくもある。そんな日常のちょっとした疑問も短歌になるんだと、はっとさせられた短歌だ。

体型のことを言われてひっこめる腹のそれほどでもない動き

「世界で一番すばらしい俺」工藤吉生著(短歌研究社)

普通は凄い動きのことを短歌にすると思うのだが、「それほどでもない動き」をわざわざ短歌にしたところに意外性を感じた。みんなが思っていることだけど、まだ短歌になっていなかった盲点といえる歌だと思う。

ぼくは汽車、汽車なんだぞー! と駆けてきた子供がオレにぶつかって泣く

「世界で一番すばらしい俺」工藤吉生著(短歌研究社)

理屈抜きで魅力を感じる短歌。理想と現実の狭間で葛藤しながら、「子供」は成長していくのかもしれない。

いいことはなんもないけどももいろの花をながめてだましだましだ

「世界で一番すばらしい俺」工藤吉生著(短歌研究社)

著者の短歌を読んでいて感じるのは、自分の感じていることを素直にありのまま言葉にしているということだ。力まず詠んでいる気がする。そして「ももいろの花」「だましだまし」という言葉の選択が素晴らしくて、とても好きな短歌だ。

人間誰しもが、うまくいかない時にながめる「ももいろの花」があるのではないだろうか。

シューティングゲームのうまいやつが来て雨粒全てよけて帰った

「世界で一番すばらしい俺」工藤吉生著(短歌研究社)

想像すると面白い。時には、自分の体験や感動をもとにした短歌ではない「空想短歌」も作っていきたい。

柔道の授業で早く負けようとやわらかく踏む畳のみどり

「世界で一番すばらしい俺」工藤吉生著(短歌研究社)

この短歌を詠んだ著者の気持ちはわかる気がする。俺は柔道の授業が好きじゃなくて、勝とうというよりも早く終わらないかなということばかり考えていた。

表現としては、「やわらかく踏む」というところがやる気のなさをうまく表現していて、結句の「みどり」という色も著者の心の状態をあらわしている気がする。

膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番すばらしい俺

「世界で一番すばらしい俺」工藤吉生著(短歌研究社)

あとがきによると、この短歌はウェブサイト「うたの日」に投稿した短歌らしい。どんな状況であろうと、自分の事を信じ抜く。それが大切だということを言いたいのかもしれない。

まとめ

この歌集を読むと、自分の身の回りで起きる些細なことや小さな心の動きも短歌の種になるということを感じさせてくれる。肩の力を抜いて詠んでいるところがこの歌集の短歌の魅力だと思う。そして、あとがきに書いてあったこんな言葉も心に残った。

お読みいただいたみなさんが楽しんでくださったならうれしいです。

「世界で一番すばらしい俺」工藤吉生著(短歌研究社)

俺も読んでくれる人に楽しんでもらえるような短歌を作っていきたいと思った。

最後に

先日、高知県に馬で遠乗り(車でドライブ)した際に珍しい光景を目にしたから紹介したい。これだ❗

最近戦いが激しいから疲れていて幻を見ているのか、道路が地面に突き刺さっているような気がする。早速、近くまで行ってみて唖然とした。

幻じゃねえ。確かに、道路が空を向いてそそりたっていて、手前には踏切の遮断機のようなものがある。こんなシュールな光景を今まで俺は見たことがない。俺は右側に少しだけ写っている展望台のようなものに上がってみた。

これが展望台の上から見た光景だ。地面に刺さっているようにみえたが実際は下には海水があってこの空を向いている道路は橋になるんだ。

実は俺がこの日、高知県に来たのはこの橋を見るのが目当てで、この橋は高知県香南(こうなん)市にある「手結港可動橋」(ていこうかどうきょう)という橋だ。全国でも珍しい動く橋なんだ。

標識にあるように1日のうち8時間は橋が降りて車が通れるようになる。あとの時間は船などが行き来出来るように橋は上がった状態になっている。

これが橋を下から見た光景だ。とても迫力がある。写っている信号機のようなものは船が通れるかを示す信号で、橋が上がっている時は青になっている。

横から見た光景。そして橋が下がる時間がやってきた。

ゆっくりゆっくりと下がっていく。こんな重い橋をどうやって動かしているのだろうと不思議になる。

完全に橋が降りた状態。とても珍しい光景を見れて楽しい一時だった。

この日は、この後たまたま同じ高知県で「紀貫之邸跡」(きのつらゆきていあと)、「古今集の庭」という興味深い場所を見つけてそっちにも行ったから、その時の様子は次回のブログで紹介したい。

それと、5月と6月は戦いがかなり激しくなる(仕事が忙しくなる)予定だから、5月、6月はブログの更新は1回ずつとしてまた7月から月2回の更新にしたいと思っている。少し間隔があくがまた読んでもらえると嬉しい!

じゃあな。

(次回は、5月28日(日)に更新予定)

4 件のコメント

  • 張飛さん、2つも投稿掲載おめでとうございます!
    推敲に対する将棋の比喩が効いていて、ポスト投函まで歌への思いも実感できますな
    うたらぼの歌は、友の口癖から一気に一塁ベースへ場面が変わるのが気持ちいいですね!
    馬で遠乗り途中の激しい戦いの間の珍しい光景、凄いですね!
    まるで一緒にドライブしているような臨場感がありましたよ
    ご紹介の本、チェックしたいと思います。映画化とかしりませんでした
    戦いが厳しい合間のブログ、楽しみにしていまーす♪

    • ベルガモット、ブログを読んでくれてコメントもくれてありがとう!

      歌への思いを実感してくれてとても嬉しい!長い時間かけて推敲して納得できる短歌ができる時もあれば、考えすぎて逆に最初の思いからかけ離れてしまって推敲する前のほうが良かったと思う時もあって、そのあたりが将棋の長考に似ているなあ、と思う。

      うたらばの歌も楽しんでもらえたようで良かったぜ!一気に場面が変わるというのは自分では意識してなかったからベルガモットのコメントで気づかせてもらったよ。ありがとう!

      珍しい光景も楽しんでもらえて良かった!旅は結構好きだから、またどこかへ行く時があれば臨場感を感じてもらえる旅行記を書いてみたい。

      この歌集はかなりオリジナリティあふれる短歌が多くて面白いし、短歌を作るうえでも参考になると思うからぜひチェックしてみてくれ!次回のブログも読んで楽しんでもらえるようなブログにできるよう頑張るよ!

  • 張飛さん、こんにちは♪
    産経歌壇と、うたらば、掲載おめでとうございます。
    毎回毎回、凄いですね。
    うたらばの投稿数が、864首、選出数が35首輪!
    凄い激戦なんですね。
    新聞歌壇も、数は公表されていませんが、新聞ですからね~!
    更に凄いことになっていそうですね。
    私はここ、2、3週間短歌から遠ざかって、歌集も読まず、新聞投稿も、していませんでした。
    新聞投稿の激戦を思うと、私の詠む歌は、まだまだ子供だましの、素人感まるだしの歌だったと、今、冷静に思っています。
    張飛さんや、ベルガモットさんのような、素晴らしい先輩歌人に恵まれているのですから、私もお二人を参考にさせていただき、考え直し、もっと推敲していこうと決意を新たにしました。

    • まこと、ブログ読んでくれてコメントもくれてありがとう!

      俺自身の投稿生活を振り返えると、最初は半年近く採用されなくて、俺もまことと同じように1カ月くらい短歌をやめていた時があったんだ。でも最初投稿していたのとは違う投稿先で掲載されるようになったり短歌の大会で佳作になったりしてまたやる気を出し始めたんだ。

      今冷静に思うと、1つの投稿先に絞らずいろんなところにコツコツ投稿を続けたことで拙い短歌ではあるが自分の短歌の良さを見てもらえる選者の方にめぐり会えた結果、掲載されたのだと思う。

      いろんな歌人の人が言っているんだが、短歌自体のよしあしももちろん大事だが、それと同じくらい短歌を見てもらう選者との相性もあるみたいなんだ。

      だから、まことも月間うたらばとかNHK短歌とか読売歌壇以外の新聞歌壇とかもいろいろチェックしてみて気になったところに気軽に投稿してみるというのもありかもしれねえ。コツコツ短歌を自分のペースで作っていけばきっと運がめぐってくると思うぜ!

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