よう、みんなイワシは食べたか❓張飛だ❗
まだ寒い日は続いているが、2月4日は立春。暦の上では春という事になる。今回は最初にそんな春を感じさせる明るいニュースがあったから、紹介したい。
読書アプリのブクログの友達、☆ベルガモット☆の作った短歌が雑誌『短歌』2月号で見事特選に選ばれたんだ❗この短歌だ❗
「あなたにはまだ早いわ」と題名を知らせず母はサガンを閉じた
『短歌』2023年2月号 発行:角川文化振興財団
この短歌において、特に素晴らしいと感じたのは「サガン」という固有名詞を効果的に使っている点だ。
サガンはフランスの小説家、フランソワーズ・サガンのことで、『悲しみよ こんにちは』が代表作として知られる。父親の情事を知った少女を描く同作は世界的なベストセラーとなった。
一般名詞ではなく、「サガン」という固有名詞を使う事でその言葉の背景にある多くの情報を読者が読み取れて、31文字という少ない音数の中に伝えたいイメージを凝縮させることに成功している。
そして、個人的に感じたのはきっとベルガモットのおっ母さんは、劉備兄貴のおっ母さんのような素敵なおっ母さんなのだろう、ということだ。
☆ベルガモット☆、特選本当におめでとう❗
話は変わって、先月締め切られた「短歌ください」のお題「地球」には7首を投稿。地球から、連想した地球儀、アース、自転、地熱などの言葉を起点に作ったが無理矢理作った感が否めないので、今回も掲載は難しいかもしれねえ。ただ、諦めずにコツコツ作っていきたい。
そして、NHK短歌、月刊うたらばにも興味が出てきたので、NHK短歌はお題「黒」「いとしい気持ち」に1首ずつ投稿。月刊うたらばは、お題「涙」に1首投稿した。こちらも、コツコツ投稿していきたい。
ちなみに、NHK短歌、月刊うたらば、はどちらもホームページの投稿フォームから投稿できる。
NHK短歌は、選者が評価してくれた作品は雑誌に掲載されるほか、そのなかでも特にいい作品はテレビ放映される。月刊うたらばは、いい作品はwebサイトや公式Twitterにて公開される。気になる奴は、ぜひチェックしてみてくれ。
それと、短歌×写真のフリーペーパー『うたらば』のお題「仕事」には5首を投稿。そのうち、3首は以前作ってまだ新聞歌壇などに投稿していなかった短歌。
フリーペーパーの『うたらば』は4カ月に1回くらい発行されていて採用されると、メールが送られてくる。そのメールに住所と郵便物が届く名前を入力して返信すると冊子を送料無料で送ってきてくれる。なので、採用された場合はうたらばを置いている本屋やカフェに行かなくても手に入れることが出来るんだ。
しかも、写真のように2冊送ってくれるので1冊は友達などにあげることもできるから嬉しい。フリーペーパー『うたらば』もうたらばのホームページの投稿フォームから投稿出来るから、気になったらチェックしてみてほしい。
じゃあ、今日もおすすめの本を紹介するぞ❗
人気歌人、穂村弘による短歌入門書
こんな奴におすすめ❗
- 短歌の基礎知識を身に付けた上で更に深く短歌を学びたい、と思っている奴
- 歌人になって歌集などを出したいと思っている奴
- 様々な歌人の短歌を解説した実践的な短歌入門書を読みたいと思っている奴
概要
この本は昨年の年末にブクログの友達、111108のレビューを読んで購入した。読みごたえのある本で何度も繰り返して読んだ。
人気歌人穂村弘による短歌入門書だ。短歌を爆弾になぞらえて、「導火線」(はじめに、に当たる部分)、「製造法」(作り方のレッスン)、「設置法」(作った短歌をどう広めるか)、「構造図」(現代短歌の魅力の解説)、を書いている。
「終章 世界を覆す呪文を求めて」 では、著者が短歌に出会い、短歌を作り始めた経緯が詳しく書かれている。
また、文庫化にあたって近代短歌から現在の短歌までの変遷や、21世紀の短歌表現などについてのロングインタビューと、歌人の枡野浩一による解説も巻末に収録されている。
ただ、短歌入門書といっても、五七五七七の定型や、音数の数え方などいわゆる「短歌のルール」についてはほとんど触れられていないので、一から短歌を学ぶ奴は別の本などで短歌のルールを学んでから、本書を読む事をおすすめしたい。
本書を読んで感じたのは、これほど面白くて、ためになる短歌の入門書はなかなかない、ということだ。特に、本気で歌人を目指している奴にとっては最高の本だと思う。では、各章の内容を説明していきたい。
まずは、「製造法」(作り方のレッスン)だ。
この章の前半では、初心者の作品を題材にして著者と歌人の東直子が様々な角度からどうすれば、より良い短歌になるかをアドバイスする。
対話形式になっていて、とても読みやすくて分かりやすい。ちなみに、ここで紹介されている短歌は「帽子」がお題になっている。
では、特に印象に残ったアドバイスを短歌と共に紹介したい。これだ。
すきでした形も色もそして名も「しょうちゃんぼうし」雪のおもいで
大内恵美
〈中略〉
普通は「色も形も」とするのが一般的な言い方だと思うんだけど、それをしちゃうと、「すきでした色も形もそして名も」となって、都々逸感が強くなるっていうか、オートマティックな感じがしちゃうんですよね。《形も色も》って反転させたことで、リアルな思い出感っていうものを浮上させているんじゃないか。
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
慣用句のような表現を使ってしまうことで、オリジナリティがなくなってリアルな感じも短歌から感じられなくなる、というのは今まで意識したことがなかったからとても参考になった。
ブクログの友達、5552もレビューで触れていたが「オートマティック」という表現がとても分かりやすくて印象に残った。これからは短歌を作るうえでオートマティックな表現にならないように気をつけようと思う。
確かにありふれた慣用句のような表現だったら、印象にも残らないと思うし短歌の魅力も半減するような気がする。
ただ、あえて慣用句的な表現を使う場合は大丈夫みたいな事も書いてある。要は書かされている感じの表現がよくないということだ。俺も短歌を作る時には気をつけよう。
また、著者はこんな事も言っている。
今しか作れない歌が必ずある
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
凄くシンプルな言葉だが、とても心に響いた。今しか作れない歌がある、という事はやっぱり作り続ける事が大切なんだなと思う。
また、「製造法」の章では電子メールのやり取りによるレッスンも行っていて、こんな事を言っている。
短歌においては時には意味以上にこの韻律感というのが大きな問題なんだよね。
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
手前味噌のようになって申し訳ないが、以前俺の短歌を著者が日経歌壇で採用してくれた時に、「ワオキツネザル」という言葉の繰り返しによる韻律の心地良さ、についてコメントしてくれていた。ちなみに、「韻律」というのは詩歌などのリズムのことだ。(その時の短歌はこのブログで『ぼくの短歌ノート』の書評をした時に紹介している)
それ以来、俺は短歌を作る時に韻律感というのも意識するようになった。よく俺は、ヒゲダンを聴くんだが凄く韻律感も心地いいから聴いていて気持ちいいし自分でも口ずさみたくなる。
短歌も「歌」だから、声に出した時にリズムが良いことも、いい短歌の要素だと痛感する。
次に「設置法」 (作った短歌をどう広めるか) の章で印象に残った所を紹介していきたい。
この章では、著者が初めての歌集を作るまでの経緯が詳しく書かれていて、歌集の選歌や構成について林あまりという歌人が著者にこうアドバイスしている。
良くない歌を歌集に入れてしまうことよりも、良い歌を落としてしまうことを怖れるべきだと思う。だから迷ったときには必ず入れておくこと
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
これを読んで思ったのは歌集に限らず、新聞や雑誌への短歌の投稿にも同じことが言えるんじゃないか、という事だ。
自分にとって自信がある短歌が採用されない時もあれば、自信がなかった短歌が採用される時もある。客観的に見てもらわないとやはり短歌の良さはわからないと思う。
だから、自分の作った短歌がその時は自信がなくてもとりあえず投稿してみることが大切かもしれないと感じた。(もちろん、自分でしっかり推敲する事を前提として)
そして、歌集のタイトルについて著者はこう述べている。
歌集名は実際に活字になったところを想定して、自分の名前とのバランスなども考慮するのがいいと思う。
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
将来歌集を出せるかどうかわからないが、参考にしたい。「石井啄也」というペンネームには、どんな歌集名があうのだろうか・・・。歌集名をいろいろ想像するだけで、ワクワクしてくる。
最後に、「構造図」(現代短歌の魅力の解説)だ。
まず、著者はこんな事を言っている。
短歌が人を感動させるために必要な要素のうちで、大きなものが二つあると思う。それは共感と驚異である。共感とはシンパシーの感覚。「そういうことってある」「その気持ちわかる」と読者に思わせる力である。
〈中略〉
驚異=ワンダーの感覚とは、「いままでみたこともない」「なんて不思議なんだ」という驚きを読者に与えるものである。
石川啄木や俵万智の歌には、共感の要素のほかに、実はこの驚異の感覚が含まれており
〈中略〉
砂浜に二人で埋めた飛行機の折れた翼を忘れないでね
俵万智
〈中略〉
「えっ?飛行機の折れた翼?」という、自分自身の体験とはかけ離れた一瞬の衝撃を通過することによって、より普遍的な共感の次元へ運ばれることになる。
その際一首のなかで「飛行機の折れた翼」は、あくまでも共感へ向かうためのクビレとして機能しており、
〈中略〉
読者の想像力が全くついて来られないほど驚異的なものは初めからめざしていないのだ。
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
石川啄木、俵万智という近現代を代表する歌人の短歌の魅力をこれほど、論理的かつ分かりやすく書いている文章は見たことがない。
確かに、読んで全くわからないような短歌でも駄目だし、ぱっと見てなんの衝撃もない短歌もつまらないかもしれない。驚異と共感のバランスが重要ということなのかもしれない。
この点に関しては、「製造法」のところで著者が言っていた慣用句的な表現に注意する、ということともつながっていると思う。慣用句的な表現には、衝撃は全くないから。
結局、一首のなかで全く驚異の要素がない共感だけの短歌というのは、本当の意味での共感を得られないということか。今まで、そんな事考えた事もなかった・・・。凄く深い・・・。
そして、この本の中で一番心に残ったのが次の言葉だ。
人間が生きていることは本来それだけで大いなる非常事態なのである。
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
全くその通りだと思う。俺達は人間として生まれて生きているから、それが当たり前みたいな感覚になっているがよく考えると、地球上にいる生き物は人間以外の方が圧倒的に多い。
もしかすると、地球以外の星でも無数の生き物たちがいるかもしれない。そう考えると、今、地球で人間として生きていること自体が素晴らしき非常事態なんだと思う。
そして最後に奥村晃作という歌人の短歌について考察した部分を紹介したい。
圧倒的な心の炎に引きつけられて、その一点に向かって闇のなかから言葉たちが集まってくる、と言うべきか。冷えた心には、詩の言葉たちは決して引きつけられない。
〈中略〉
「ロッカーを蹴るなら人の顔蹴れ」と生徒にさとす「ロッカーは蹴るな」
〈中略〉
「ロッカーは蹴るな」の踏み抜くような言い切りは凄い。
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
奥村晃作の短歌を初めて読んだのは、『短歌タイムカプセル』という本だった。どれも独特のオーラを放つ短歌で、綺麗な表現を使おうという意識はあまり感じられない。
自分の言いたい事を全力で短歌に託しているという感じで、凄くストレートだ。一見、当然すぎるような内容の短歌も多いがその奥には、彼の譲れない主張が見え隠れしている気がする。
変化球は使わないが、170キロくらいのストレートだから思わず三振してしまう、そんな感じの短歌が多い。例えば、彼のこんな短歌が紹介されている。
次々に走り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く
「短歌という爆弾ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー」(穂村弘著)小学館文庫
当然自動車を運転する人で、後ろを向いたまま運転する人はいない。俺が思うに、これは人生を生き抜いていく事を自動車の運転に見立てている気がする。
自動車の運転中によそ見をしたり、後ろを気にしながら運転すれば当然事故を起こす。
人生でも同じことが言えて、途中でどんなことがあろうと後ろばかり気にせず前を向いて生きていけば、時に赤信号に捕まるような事があっても最後には、自分の行きたい目的地に到着できる、それを奥村は言いたいんじゃないだろうか。たぶん・・・。
ともあれ、短歌においても人の心をうつのは燃える心の奥から放たれる言葉、ということだろうか。俺にとっては、まだまだ遠いがそんな言葉を書けるようになりたい。
まとめ
「構造図」の章では、多少難しい文章もあるが、対談形式の短歌レッスンがあったり、著者の経験に基づく歌集の作り方が書かれてあったりして、本格的に短歌を作って行こうとしている奴にとってはこれ以上ない最高の本だと思う。
最後に
俺は今、香川県というところに住んでいる。香川県のうどん、いわゆる「讃岐うどん」が日本一うまいというのは多くの人が認めるところだと思うが、もうひとつ香川県が日本一である点を見つけた。それは、
面積の狭さ、だ❗
香川県は日本一面積の狭い都道府県なんだ。ちなみに、僅差で香川県を猛追している2位は大阪府である。(別に追ってはないか)以前は、大阪府が日本一狭い都道府県だったが35年ほど前に香川県が日本一の座についた。
以前俺は静岡県を普通電車で通ったことがあるが世の中にこんな広い県があるのかと驚愕した記憶がある。今思うと、静岡県が広いというより香川県が狭すぎたのだ。
しかし、面積の狭さってあまり自慢にはならない・・・。他にも、香川県の日本一を見つけたらまた発表したい。(あくまで日本一があれば)
じゃあな。
(次回は2月19日(日)に更新予定)
コメントを残す