ブク友ほむほむ短歌会会報 No.2
今月もみんなの短歌を紹介していきたい❗
まずは、俺の短歌からだ❗今月は計4首掲載された。ペンネームは、石井啄也。まず、10月3日(木)の産経歌壇(小島ゆかり選)に掲載された短歌がこれだ❗
いつの日も「人の心を種として」短歌が生まれ戦火も起こる
10月3日(木)の産経新聞の産経歌壇
「人の心を種として」というのは、古今和歌集の仮名序という序文からの引用である。和歌は人の心が種となって様々な言葉になる、という意味の文章が書かれている。戦争も人の憎しみなどの心が火種になって起こる。道は遠くても、戦争の連鎖を止めるためには人の心を変革していくしかない、と感じる。
そして、10月24日(木)の産経歌壇(小島ゆかり選)に掲載された短歌がこれだ❗
ネックレスをキザ井啄也が着けようとしたけど石井啄也が拒む
10月24日(木)の産経新聞の産経歌壇
以前、YouTubeで男性のスタイリストが「キザ山」という架空のキャラでNGなファッションを紹介していた。それを見て、以前ネックレスを着けようかと思ったことがあったのを思いだした。
でも、想像すると自分は似合わないような気がしてやめたのだ。(ちなみに俺の見た目はのび太に似ているとよく言われる)男性の場合ネックレスは、着ける人を選ぶような気がするのである。そんな心の動きを短歌にした。
次に、10月26日(土)の日経歌壇(穂村弘選)に掲載された短歌がこれだ❗
出航の前夜自宅の窓ぜんぶ開けっぱなしで寝ているペリー
10月26日(土)の日本経済新聞の日経歌壇
これは、想像短歌である。俺は歴史が好きで、歴史上の人物について想像する短歌も、たまに作っている。日本を開国させるという任務を任されたペリーが、縁起をかついで家の窓を開けていたんじゃないか、と。選者からは次のような評もあった。
歴史上の人物を想像するタイプの歌がある。「開けっぱなし」と日本への開国要求が遠く響いているような。
10月26日(土)の日本経済新聞の日経歌壇
そして、『NHK短歌』の2024年11月号でのテーマ「文字」(俵万智選)で佳作となった短歌がこれだ❗
短冊に書かれた夢のどれよりも濃くて大きな字で「正社員」
『NHK短歌』2024年11月号 NHK出版
これは、派遣社員として働いている友達の言葉の切実さに胸をうたれて、作った短歌だ。
選者の皆様に、心から感謝したい。
では、次にみんなの短歌を紹介したい。まずは、『短歌研究』2024年10月号に佳作(島田修三選)として掲載された☆ベルガモット☆の二首の短歌がこれだ❗
彼方より轟く音を見上げれば米軍用機は北へと向かう
基地内にオランダ軍の視察あり全国版の報道はなし
『短歌研究』2024年10月号(短歌研究社)
一首めは、聴覚と視覚の両方で読む人にうったえていて凄く臨場感のある短歌だと思った。
二首めは、「全国版の報道はなし」から☆ベルガモット☆の感じる違和感のようなものを感じることができる。
どちらの短歌も感情を書かずに事実を描写することで、読む人が☆ベルガモット☆がどんな心情でこの短歌を作ったのか想像する余地ができ、広がりのある短歌になっている。
☆ベルガモット☆はブクログのコメントで、「国を守ることと生活を守ることが同義ではないとか、基地がある意味をいつも考えさせられる」と書いていた。とても深い言葉だと感じた。国のために国民がいるんじゃなくて、国民のために国があるということを忘れずにいたい。
次に、10月7日(月)のNHKラジオ「ほむほむのふむふむ」で穂村弘に紹介された5552の短歌がこれだ❗
よく知らぬハムスターでもかなしくてYouTubeの【ご報告】の文字
「ほむほむのふむふむ」NHKラジオ
「【ご報告】の文字」という事実の描写で、ハムスターが死んでしまったという事実を読む人が想像できるようになっているところが、いいなあと感じた。この短歌を作れるところに5552の優しさも感じた。ラジオではこの5552の短歌から、ほむほむが飼っている猫の話で盛り上がっていたのも印象的だった。
そして、『NHK短歌』2024年11月号のお題「白」(川野里子選)に佳作として掲載された5552の短歌がこれだ❗
朝礼に並ぶ無数の白きシャツ光れ文庫の背表紙のごと
『NHK短歌』2024年11月号(NHK出版)
「文庫の背表紙のごと」という比喩がとても新鮮でいいなあ、と思った。「無数の白きシャツ」が鮮やかに目に浮かんできたし、「光れ」から、無限の可能性を秘めた少年や少女を応援する心情がとても伝わってきてとても温かな気持ちになることができた。
同じく、『NHK短歌』 2024年11月号のテーマ「鳥」(大森静佳選)で佳作として掲載された5552の短歌がこれだ❗
モーニングタイムに鳥の目借りればつむじが歩くつむじが走る
『NHK短歌』2024年11月号(NHK出版)
5552のコメントによると、鳥の視点から見た朝の光景を詠んだ短歌だそうだ。俺は「鳥」のお題の短歌を考えるときに人間の目から見た鳥のことばかり考えていた。鳥の視点から詠んだところが、とても斬新で勉強になったし下の句のリズムも読んでみてとてもいいなあ、と感じた。
つぎに、10月19日(土)の日経歌壇(穂村弘選)に掲載されたまことの短歌だ❗まことの記念すべき新聞歌壇初掲載の短歌である❗
歯ぎしりがもう何年も止まらないあと一年で歯が折れるかも
10月19日(土)の日本経済新聞の日経歌壇
飾らず気取らない短歌で、以前のまことのお母様のことを詠んだ短歌を読んだときも感じたんだが、言葉を詰めこみすぎていないところが、いいなあと感じた。ほむほむは、『NHK短歌』10月号で過剰に言葉を費やしてしまうと「短歌としてはトゥーマッチな表現」になってしまうと書いていた。
そして、もう1つ思いだしたのはほむほむの次の言葉である。
例えば、「こんなおめでたいことがあり、私は幸せです」みたいな、社会的に価値のある事象をそのまま歌にすると、むしろ短歌的には微妙なものになってしまう。
歌にするなら、失敗とか辛かった経験とか
〈中略〉
をテーマにした方が作品として輝くんです。
『NHK短歌』2024年5月号「あの人と短歌」より(NHK出版)
まことの歯の状態はとても心配だが、それを短歌のテーマに選んだところにまことのセンスが光っていると感じた。(昨日のまことのブクログのレビューを読むと頭痛がするとのことでとても心配である。良くなるまで無理をせずどうかお大事にしてくれ)
最後に、 『NHK短歌』 2024年11月号のテーマ「文字」(俵万智選)で佳作秀歌となったアールグレイの短歌だ❗アールグレイは、初掲載で佳作秀歌である❗
絵葉書を隠れみのにし文字にのせ溢れぬように「お元気ですか?」
『NHK短歌』2024年11月号(NHK出版)
「絵葉書」を「隠れみの」にするという比喩がとても巧みだし、「葉」と植物を編んで作る「みの」が響きあっている気がする。結句の「お元気ですか?」という言葉に万感の気持ちがこもっているような気がして、とても胸を打たれた。
☆ベルガモット☆、5552、まこと、アールグレイ、みんな本当におめでとう❗
ブクログで紹介した本
最後に
前回のブログのコメントで☆ベルガモット☆が、「ブク友ほむほむ短歌会のみんなで、Amazonの電子書籍で合同歌集を作って、無料でブクログのみんなにもシェアできたらいいですね」という内容のコメントをしてくれていた。今まで、俺のなかで恥ずかしながら合同歌集という発想が全然なかったんだが、凄く面白そうだ❗
まだまだ、調べはじめたばかりで未定だが合同歌集への参加を希望する人に、一人につき十首ずつくらい作ってもらって木下龍也の『オールアラウンドユー』や『きみを嫌いな奴はクズだよ』みたいに1ページに1首ずつ掲載するような構成で作れたらいいなあ、と勝手に思っている。(短歌の数とか構成は、あくまで個人的に思っているだけ)なので現時点では合同歌集のプランがあるということだけ、みんなも頭の片隅に置いておいてもらいたいと思う。じゃあな❗
(次回は、11月24日(日)に更新予定)
張飛さん、おはようございます♪
今回の会報は大変でしたね!
皆さん、凄いご活躍ぶりで、ブログにまとめるのもご苦労だったかと思います。
産経歌壇2首、日経歌壇掲載おめでとうございます!
(NHK短歌も)
産経歌壇の最初の歌は、古今和歌集からことばを引用されたのですね。
古い短歌は私は難しく、手がでませんが古い短歌の教養もおありな張飛さん、カッコいいですね!
短歌と戦争を対比して並べるという発想もいいと思いました。
産経歌壇の2首目はちょっとクスリと笑いがでました。
キザ井琢也は笑えます。
そうですね。私も張飛さんにネックレスはあまり似合わないと思います。
リアル張飛さんとお会いしたこともある者として断言します。
なんかチャラそうになるんじゃないかな。
日経歌壇の歌は、山形講座に提出された渋谷で信長と光秀が出会ったという歌の、別バージョンとも思える歌ですね。
穂村さんからの評もいただけたのですね。
ペリーが窓を開けて寝ているという発想は凄いと思いました。
私の、日経歌壇、初掲載歌のコメントもありがとうございます。
とても嬉しいです。
引き合いに穂村さんのおっしゃられていることを紹介してくださって、私も凄く勉強になりました。
今月は、ブク友ほむほむ短歌会の5552さん、ベルガモットさん、の度重なるご活躍に、新顔のアールグレイさんの初掲載佳作秀歌というご活躍もあり、ブログにまとめる作業も本当に嬉しい大変さだったかと思います。
私の体調の心配もありがとうございます。
夕べ一晩ゆっくり寝たらだいぶんよくなりました。
でも、今、図書館に新刊が三冊届いているので、取りにいかなくちゃいけません。
読めなかったらもったいない!
まこと、お祝いのコメントありがとう!
だいぶ体調が良くなったということで、安心したよ!
確かに、ブログにまとめるのは大変だが、やっぱりみんなの活躍を紹介できるのは凄く嬉しいし、書いてるうちに最初読んだときに気づかなかった部分に気づくことが出来たりして勉強にもなるんだ!ただ、まだまだみんなの短歌の魅力を十分伝えきれてないと思うから、今後もほむほむの日経歌壇の評などをしっかり読んで勉強したいと思う!
産経歌壇で引用した文章は、紀貫之の言葉で短歌を作るときに座右の銘にしているんだ。ブクログのレビューで紹介した小島ゆかりの「自分の身体をくぐる」というのも近い意味のような気がする。
まこと、俺もまことと同じくネックレスを着けるとチャラくなるような気がするんだよ(笑)圧倒的に(笑)この短歌で楽しんでもらえたようで、嬉しいぜ!
日経歌壇の短歌の発想も、誉めてもらえて嬉しい!そういえば、まことが気づいてくれたように信長と光秀の短歌も歴史の人物の想像短歌だったな!将来的には、もっと歴史短歌を作って連作みたいなものに出来たらいいなあ、と思う!
まことの、日経歌壇初掲載も本当に嬉しかったよ!講座の懇親会の2次会でほむほむがまことの短歌を読んだときに、あいまいな感じじゃなくてはっきり「何首めと何首めがいい」と言ってたし、ほむほむのまことの短歌への評価は高いんじゃないかなあ、と思ってる!また、まことの短歌を読みたいなあ、と思う!
張飛さん、こんにちは!
月イチの会報、楽しみにしてました。
今回はまことさんもおっしゃるように短歌会のみなさんの活躍目覚ましく、非常にボリューミー。
まとめる作業、お疲れ様でした。
拙作もまた素敵な評をつけて載せていただき、感謝です。
張飛さんの今月の掲載歌は4首ですか!
最多でしょうか?
〈いつの日も〜〉は、大きくうなずきたい一首。
良きものも悪きものも人の心から生まれますよね。
〈ネックレスを〜〉も、ふふふと笑えて共感してしまいました。
のび太似の方が急にネックレスをつけだすと周りは「キャラ変か?!」とざわつくかもしれませんね。
〈出港の〜〉は、ペリーかわいいです。
ペリー、好きなんですか?
☆ベルガモット☆さん発案で、張飛さんがアイデアをあたためている合同歌集のおはなし、面白そうですね!
Amazonで無料で読める電子書籍がつくれるんですね。知らなかったです。
ぜひぜひ、その企画に乗りたいです。
5552、お祝いのコメントありがとう!5552も先月に続いてほむほむのふむふむや、NHK短歌で大活躍で本当に凄い!俺の4首掲載は、たぶん最多タイだと思う!今週まさかの、産経歌壇、日経歌壇連続掲載でとても嬉しかったよ!
紀貫之がとても好きだからいつの日も~、の歌が掲載されて本当に嬉しい!ネックレスの歌は、掲載されたのはびっくりしたというか、自分ではすごく好きな短歌なんだけど採用されるとしたら、もう一首送った歌かなあ、と自信がなかったんだ。でも、5552にも笑って、共感してもらえたようで良かった!やっぱりキャラを守るのは大事なことだな(笑)
ペリーといえば、開国みたいな感じでみんなが知ってる人だから想像短歌を作ったときに読む人に伝わりやすい気がするんだ!学生の頃は、社会の先生を目指してたくらい歴史が好きだから他にも、信長とかいろいろ挑戦してみたいなあ、と思ってる!
☆ベルガモット☆が発案してくれた合同歌集は、調べると無料で読めるようにしている歌集があったよ!でも作り方とかは、まだまだわからないことが多いから作り方を勉強しながら、考えていきたい!本格的に決まったら、ぜひ5552にも短歌をお願いしたいと思う!
張飛部長、会報をまとめてくださってありがとうございます!
皆さんの目覚ましい活躍を再確認出来て、それぞれの作品のコメントも味わい深くて贅沢な内容ですね!!!
平和を願う歌を古今和歌集の歌をヒントにして詠んでいるのがじんわり心に沁みますね。
ペリー歌は、リアルタイムで日経歌壇で見つけたときはやった!と自分の手柄のように思いました。
いろんな題材をヒントに歌にしていて凄いなあと思います。
合同歌集について調べてくれてありがとう!電子書籍を出版した知り合いがいるのでちょっとやり方を聞いてみます。
楽しみですね♪
☆ベルガモット☆、コメントありがとう!会報を喜んでもらえて良かった!作品のコメントも味わい深いと言ってもらえて嬉しいぜ!書いた甲斐があったよ!
心にしみると言ってくれてありがとよ!確か、俵万智の『アボカドの種』にも短歌では心を掘り下げることが大事、みたいな内容の短歌があったと思うから(以前NHK短歌で紹介されてた)今度、歌集を読みたいと思ってる!
日経歌壇の短歌を我がことのように喜んでくれてありがとう!本当に嬉しいぜ!想像して作る短歌は、最初木下龍也が仮面ライダーや桃太郎の話に独創性を組み入れて作っている短歌を読んで面白そうと思って、自分でも作りはじめたんだ。考えると楽しいから、これからも作りたい!
おお、電子書籍を出版したことがある知人がいるのか!ぜひ、やり方を聞いてみてほしい!合同歌集が完成したところを想像するだけで、凄くワクワクするぜ!