よう、MGC(マラソングランドチャンピョンシップ)の川内優輝の大逃げに胸が熱くなった張飛だ❗
俺の投稿している短歌の掲載状況だが、10月は新聞、雑誌、全国短歌大会の選歌集という3つの媒体に計4首が掲載されたので紹介させてくれ❗ペンネームは、石井啄也だ。
まずは、現代歌人協会の全国短歌大会 で佳作となった作品を紹介したい。これだ❗
「人間に生まれる」という千年の夢を叶えたことを忘れる (沖ななも選)
「第五十二回 全国短歌大会選歌集」発行所 現代歌人協会
よく考えたら、地球上にいる生命体は人間より他の生き物のほうが圧倒的に多い。もしかすると、自分も犬とか猫だったかもしれないし目に見えないような微生物だったかもしれない。
そのころは、人間にあこがれていて実際に人間に生まれた瞬間に昔の夢を忘れたんじゃないか。そんな思いを短歌にこめた。
次は、10月12日(木)の産経新聞の産経歌壇 (小島ゆかり選)に掲載された作品を紹介したい。これだ❗
以前のブログに書いていたように、俺は夏ごろに花図鑑を買った。道浦母都子(もとこ)という歌人が知らない花を見つけたら必ず帰って、図鑑で調べるということを知って俺も真似しようと思ったんだ。
短歌を詠むまえの俺からしたら、考えられない行動でそんな思いを短歌にした。ちなみに、投稿した時結句は「花図鑑を買う」だった。選者の添削で「を」が削られていたんだ。結句はなるべく字余りにしないように、という意味があるのかなあと勝手に想像している。
次は、『NHK短歌 2023年11月号』 に佳作として掲載された短歌だ。お題は「手」。これだ❗
小手投げをされた力士が駄々こねる子供のように仰向けになる (川野里子選)
『NHK短歌 2023年11月号』NHK出版
小手投げというのは、相撲の決まり手の一つだ。これは、新聞の写真を見て作った短歌で投げられた力士が土俵の上で仰向けになった姿が、デパートのおもちゃ売り場などで「買って、買って~」と駄々をこねている子供のように見えたんだ。
第三句は「駄々をこねる」にしようか迷ったが、読んでみるとリズムがとても悪くなる気がしたから「駄々こねる」とした。
そして、10月28日(土)の日本経済新聞の日経歌壇(穂村弘選)に掲載された短歌がこれだ❗
「きゃあああー」全く同じ車種、色の車に乗ろうとして叫ばれる
『日本経済新聞 2023年10月28日(土)』の「日経歌壇」
これは、俺が高校生くらいの頃の実体験を詠んだ短歌だ。コンビニに母親の車で一緒に買い物に行った時のこと。買い物を終えて俺が車の助手席に乗り込もうとすると運転席から叫び声がして、びっくりして見ると母親だと思っていた運転席の人はなんと見知らぬ若い女性だった。
全く同じ車種と色の、別の車だったんだ。必死に謝って事なきをえたが、正直俺も一瞬母親が発狂したのかと思ってめちゃくちゃびっくりしたぜ❗
この短歌は出来事自体がインパクトがあるから、びっくりしたとか自分の感情は書かずに描写に専念しようと心がけた。
この短歌に対する選者のコメントも掲載されていた。
一瞬、パラレルワールドに飛ばされた気分。「乗ろう」としたほうもパニックになりそうだ。でも、悪いのは〈私〉。
『日本経済新聞 2023年10月28日(土)』の「日経歌壇」
今回掲載してくれた選者の皆様に心から感謝したい。
さらに、嬉しいことに読書アプリ「ブクログ」の友達の☆ベルガモット☆の短歌が『短歌研究 2023年7月号』と、『NHK短歌 2023年11月号』に佳作と、佳作秀歌として掲載され、5552の短歌が9月30日(土)のNHKラジオの「文芸選評」で放送されたから紹介したい。まずは、☆ベルガモット☆の短歌だ。これだ❗
起動してGoogle earthに現れた自宅の車庫は空車のままだ (米川千嘉子選)
『短歌研究 2023年 7月号』短歌研究社
Google earthが出てくる短歌自体を俺は読んだことがなくて、日常の切り取り方が面白いなあと思った。ベルガモットのコメントによると、集中豪雨で愛車が故障して買い換えたらしくてそれを予感させるような短歌とあって、そんなエピソードも興味深かった。
もう一つのベルガモットの短歌はこれだ❗
はじめての着付けを学ぶ先生の指で素数のように整う (川野里子選)
『NHK短歌 2023年11月号』NHK出版
お題は「手」。この短歌は佳作秀歌として掲載された❗NHK短歌はブクログの友達のまことが教えてくれた情報によると1つのお題に2000通!くらいの投稿があるそうで、入選と佳作秀歌はそれぞれ8首か9首くらいしかない狭き門である。
選者の川野里子は、比喩についてこう書いていた。
喩えるものは遠く思いがけないもののほうがインパクトが出ます。同時になるほどと思わせることも必要。
『NHK短歌 2023年11月号』NHK出版
ベルガモットの短歌の「素数のように」がまさしくそれに当てはまると思った。着付けと素数が結びつくところに新鮮な驚きがある。
それと、ベルガモットのブクログのコメントによると穂村弘の短歌に出てくるような突拍子もないキーワードを使ってみたかったそう。俺はそういう視点で短歌を作ったことがなかったから凄く参考になった。俺も気になる言葉があったらメモしておいてその言葉を中心にして短歌を作ることもぜひ挑戦してみたいと思う。
次に、5552の短歌がこれだ❗
金色のフォークくるくる回してる君が巻き込む我の運命 (川野里子選)
「文芸選評 2023年9月30日(土)放送」NHKラジオ
テーマは「フォーク」。第四句までは俺はてっきりフォークで回してるのはパスタだと思っていたが、「我の運命」という結句ではっとさせられた。現実の世界から、想像の世界へ羽ばたいていくような展開が素晴らしいと感じた。
実際にラジオを聴き逃し配信(文芸選評は、放送後1週間くらい聴き逃し配信をしている)で聴いたんだが、5552の短歌を解説している時の選者はとても楽しそうに解説しているように感じた。それは、読む人にいろんな想像をさせてくれる懐の深い魅力のある歌だからだと思った。
☆ベルガモット☆、5552、あらためておめでとう❗
じゃあ、今日もおすすめの本を紹介するぞ❗
松本典子の第四歌集
こんな奴におすすめ❗
シリアスで胸にしみるような短歌を読みたい奴
概要
歌人、松本典子の第四歌集。著者は歌人の馬場あき子に師事して短歌を学び、第46回角川短歌賞を受賞している。
著者のことを最近まで俺は全然知らなかったんだが、知ったきっかけは短歌雑誌の『NHK短歌』だ。『NHK短歌』の8月号、9月号に掲載された短歌で凄くいいなあと思った短歌が両方とも今回紹介する『せかいの影絵』から引用された短歌だったんだ。
この歌集に収められている短歌は、戦争や災害、身近な人の死などシリアスなテーマで作られている短歌が多いため、もしかすると好き嫌いがわかれるかもしれない。俺としては、様々なテーマについて考えるきっかけになって良かったと思った。
では、いくつか短歌を紹介したい。
秋はいつも直滑降でやつて来るゆびのさき朝の水がつめたい
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
とても共感出来る歌。毎年9月くらいに急に朝晩が寒くなったりする。年々夏が長くなって、秋が短くなっているような気もする。
スケボーで跳べば影さへ地をはなれ逆光にきみの黒きシルエット
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
「影さえ地をはなれ」という表現がとてもかっこいい。かなり高く跳んでいる姿が想像できる。
突けば飛び散る水風船のかなしみを突かれねば黙しゐつ被災のだれも
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
2019年の度重なる台風で被害を受けた故郷について詠んだ歌。被災した人たちが、押し殺している悲しみを「水風船」と表現しているところが凄い。人間の本質にも迫っているような短歌だと思う。
STAY HOME の呼びかけに取り残されつ春雷に家を持たぬ人たち
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
コロナ禍をテーマにした短歌も多くあった。「STAY HOME」という言葉をよく聞いたが、そこから「家を持たぬ人たち」の悲しみに思いをめぐらす著者の優しさに胸を打たれた。
胸ぬちで一(イー)、二(アー)とチョコを数へゐむ趙さんはいまレジ打ちながら
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
日常の風景だが、この短歌もSTAY HOMEの短歌と同じく異国の地で働く人の気持ちにそっと寄り添うような温かさを感じる歌だ。
レコード盤裏がへしそのSIDE‐Bを聴きたかつた 夭(わか)くして逝くきみの
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
若くして亡くなった三浦春馬への追悼の短歌。著者の無念さが滲むような短歌だと感じた。
秋のさやかな滑走路見ゆ ガラスペンの尖(さき)を便せんから離すとき
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
『NHK短歌 8月号』の「驚きを仕込もう」という記事に掲載されていて、著者の歌集を読んでみたいという気持ちにさせてくれたきっかけの歌。「ガラスペンの尖」を飛行機に見立てていて、スケールが大きくとても好きな歌だ。
「爆撃が聞こえない」手話で訴へるひとのゐて酷(むご)し戦はどこまでも
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
ウクライナへのロシアの侵攻について詠んだ歌。耳が聞こえない人をも巻き込む戦争の理不尽さを痛感させられた。
ことし早咲きのさくらの何が不思議だらう いもうとが先に逝く世のなかで
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
がんで亡くなった妹さんを詠んだ短歌。著者の妹さんとの別れを悲しむ気持ちが凄く伝わってきた。花と人を対比している点は、紀貫之の「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける」という百人一首に採られている歌と同じで構成も巧みだと思った。
まとめ
あとがきで、著者はこう述べている。
胸苦しさで眠れない夜が続くとき。悲しみを言葉にすることで気持ちの整理をつけようと歌を詠む。
〈中略〉
そうしてようやく幾つかの歌ができる頃には、シャワーに紛らせて泣くことができる。明日からまた歩いてゆける。
『せかいの影絵』松本典子著(短歌研究社)
先ほど書いたように、重いテーマを詠んだ短歌が多いが、それでも様々な悲しみを乗り越えてその先にある光に向かっていこうとする強い著者の意志のようなものを感じた。
最後に
今月は、瀬戸内海の島へフェリーで行く予定だったが関羽の都合が悪くなったため来月に予定変更となった。
そこで、今回は最近気になっていた近くの美術館に行ってきた。ここだ❗
香川県の丸亀市にある猪熊弦一郎現代美術館だ❗(愛称はMIMOKA)
美術館の外観。
美術館の目の前にJR丸亀駅があってアクセス抜群の場所にある。
ちなみに、この美術館は一部の作品を除いて写真撮影できるようになっている。作品との間にパーテーションも置いてなくて間近で見れる。
猪熊弦一郎の写真とプロフィール。香川県の高松市の出身らしい。
館内に入って最初に目をひいた「GETA」というモニュメント。命の恩人に捧げるモニュメントというのが素敵である。
2階の展示室の様子。
絵の見方についての猪熊弦一郎の考え方が紹介されていた。
今回、見てきたのは2階の常設展の作品。猪熊弦一郎の全ての作品は、この美術館に寄贈されていてかなりの数の作品があるらしい。年に3回ほど展示する作品を入れかえているそう。
今回展示されている作品は人の全体を描いた絵や顔を描いた絵が多かった。猪熊弦一郎は猫が好きだったらしくて猫の絵も多いらしい。今回は猫らしき絵はなかった。
実際に使われていたというクロス。
猪熊弦一郎がデザインした家具。
猪熊弦一郎のコレクションも展示されていた。美にこだわっているような気がする。
「対話彫刻」というのがあって、なんだろうと思って美術館の人に聞いてみた。猪熊弦一郎はかなりのヘビースモーカーだったらしくて、禁煙した時に手が寂しくなって奥さんのすすめで気を紛らわせるために針金などを使って作っていた作品だそうだ。テーブルの上に置くと作品どうしが互いに対話しているようだから、「対話彫刻」と名付けたらしい。禁煙の仕方もお洒落だ。
作品を見終わって外に出ると、なにやら3階の方から水が落ちるような音がする。まさかと思って上に登ってみた。
すると、なんと3階に人工の滝のようなものがあって勢いよく水が落ちている。風にのった水しぶきが顔に当たって心地良かった。
3階にはカフェもあったから、ランチを食べることに。秋鮭のくるみ味噌焼きが最高に美味しかった。
食事を終えてコーヒーを飲みながら、館内に置いていたパンフレットを読んでいるととても印象に残る文章が紹介されていた。猪熊弦一郎が1938年にパリに行った時のエピソードだ。
そのころ、パリには素晴らしい画家達がたくさんいた。フランス滞在中最大の収穫となったのは、マティスに出会い、助言を受けたことである。中でも「お前の絵はうますぎる。」と言われたことが一番厳しい言葉であったという。この言葉には、テクニックだけの絵ではなく、自分自身を素直にカンヴァスにぶつけることが大切だという意味が含まれていた。この言葉が生涯、制作活動の大きな支えとなった。
『MIMOKA』発行:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
短歌にも通じる言葉かもしれないと思った。
絵画には全く詳しくないが、美術館を訪れてとても新鮮な気持ちになれた。また、機会があれば近くの美術館に行ってみたい。
じゃあな。
(次回は11月26日(日)に更新予定)
張飛さん、こんにちは♪
今月も4首掲載おめでとうございます!
素敵な歌ばかりですね。
産経歌壇はもしかして、一席だったのでしょうか。
すごいですね!
現代歌人協会の歌と、産経歌壇の歌が特に私はいいと思いました。
穂村さんの選ばれる日経歌壇はこう言っては何ですが、ちょっと変わった視点の歌も選ばれるのですね。
今月のブログはいつにもまして情報量が多い気がします。
美術館にも行かれたのですね。
芸術の秋満喫ですね。
まこと、ブログを読んでくれたうえにコメントもくれてありがとう!
素敵な歌ばかりと言ってもらえて、とても嬉しい!まことが気づいてくれたとおり、産経歌壇は一席だったんだ!今まで一席は他の媒体も含めて初めてだったから、嬉しさと驚きでしばらくは実感がわかなかったぜ!
日経歌壇の穂村弘欄と、産経歌壇の小島ゆかり欄は結構ユニークな歌もよく見かけるから、読んでいるととても面白くて俺としては凄く好きなんだ。
美術館は久しぶりに行ったんだけど、心がリフレッシュできて本当に良かったよ!絵だけじゃなくて、一流の芸術家の考え方とかにも触れることができて触発を受けることができた気がする。また、来月のブログも読んで良かったと思ってもらえるブログにできるように頑張りたいと思ってる!
現代歌人協会全国短歌大会佳作受賞、おめでとうございます!!!
千年の夢という壮大なスケールの奥行きのある歌で、しみじみと味わうことができますね。ちょっとした悩みがどうでもよくなるような気がしてきます。そうかと思えば、鋭い視点での相撲の勝負の様子を詠ったり、花図鑑を買っちゃうお茶目な面があったり、他の車にのっちゃうおっちょこちょいな面もあったりと、張飛さんの歌のベクトルがいろんな方向に向いていて、凄いですね。ますます目が離せないパワーアップし続けている張飛さんですな!!!私の短歌紹介もありがとうございます。
松本典子さん(一瞬女優さん?!と思いました)の歌の解説は、理解を助けてくれて有難いです。
スケボーとレジ打ちの歌が特に気になりました。
旅日記は。対話彫刻とかマティスとの交流だったりとか、その場でないと得られない耳寄り情報がてんこ盛りで行きたくなりますな。食レポも美味しそう♪今度は関羽さんの都合が合うといいですね。
ベルガモット、ブログを読んでくれたうえにコメントもくれてありがとう!
パワーアップし続けていると言ってくれて嬉しいぜ!全国短歌大会の歌でちょっとした悩みがどうでもよくなってくると感じてくれたのも凄く嬉しいよ!俺の短歌を読んでくれた人が、少しでも前を向けたり楽しんでくれたりしてもらえるような短歌を作れるようになりたいなあと思う!(まだまだ道は遠いが)
松本典子ってそう言えば検索したら全く違う人がたくさん出てきた気がする。俺も、レジ打ちもスケボーの短歌も大好きでレジ打ちの短歌は著者の想像力が凄いなあと思うし、スケボーの短歌は俺だったら「高く飛べば」とか書いてしまいそうだなあ。言葉一つで短歌って凄く変わるんだなあと痛感したよ。俺の解説も役にたったと言ってくれて嬉しいぜ!
美術館は、今までほとんど行ったことがなかったんだがわからないことを美術館の人が詳しく教えてくれて助かったよ。あと、心に残ったのは「新しさということは自分です。自分を一番出したものが新しい。」(MIMOKAのパンフレットより)という猪熊弦一郎の言葉で俺も自分らしい短歌を書いていきたいと思った。
また近いうちに関羽との島旅もアップしたい!