きみを嫌いな奴はクズだよ(木下龍也著)書肆侃侃房

よう、お花見には行ったか❓張飛だ❗

今日は最初に、3月30日(木)の産経新聞の産経歌壇 (小島ゆかり選)に俺の詠んだ短歌が掲載されたから、紹介させてくれ。これだ❗

石井啄也というのが、俺のペンネームだ。今回は、選者が俺の短歌を添削してくれていた。産経歌壇では、選者が添削をしてくれる場合があるそうだ。(投稿規定に書かれている)どこを添削してくれていたかは、後程述べたい。

この短歌は2月の上旬に作った短歌だが、その頃はなかなか短歌が思い浮かばなかった。そこで、俺はもう一度短歌の基本を思い返した。それは、上の句(最初の五七五)で自分の見ている「景色」を詠んで、下の句(最後の七七)でその景色を見た自分の「感想」を詠む、というものだ。

そして、その頃ある新聞の写真を見た。一人の赤ちゃんが病室のベッドで横たわっている写真だ。なぜ、赤ちゃんの写真が掲載されているのか不思議に思って記事を読んだ俺は愕然とした。

あのトルコ大地震で崩壊した建物のがれきの下で生まれて救助された赤ちゃんだったからだ。残念ながら、ご両親は亡くなってその日のうちに埋葬されたという。

これほど、心を動かされた写真を俺は今まで見たことがなくて、短歌にしたいと思って写真をしばらく見続けていた。上の句(景色)は、すぐに決まったが下の句(感想)がなかなか詠めない。

ご両親を亡くして、一人で生きていかないといけない赤ちゃんのこれからの未来を思うと、現実があまりにも重すぎて言葉が見つからないのである。その歯がゆさを「うまく言えぬが」と率直に四句で表現した。そして最後の結句である。

「幸せになってほしい」とか「かわいそう」とか、いろいろ思い浮かぶが短歌としては月並みすぎて、何か違う。ふと感じたのは、小さな体でがれきの下で生き抜いて、過酷な状況の中でこれからも生きていこうとしている赤ちゃんの姿に俺は励まされている、ということだ。

そんな気持ちを結句で「生きよう 僕も」と表現した。

そして、二句から三句にかけては「生まれた赤ちゃんがいる」としていたが、選者が添削してくれて「生まれた赤ちゃんが生きている」となっていた。「生きて」が加えられていたんだ。添削してくれていた意味を自分なりに考えると「生きて」の三文字がないと生まれた赤ちゃんがその後、生きているのか死んでしまったのかがわからない。その点を明確にするために添削してくれたのではないかと考えている。プロの歌人の方の的確な添削に俺は感動した。

俺の短歌を掲載してくれた上に添削もしてくれた選者に心から感謝したい。

そして、もう一つ嬉しい事があった。読書アプリ「ブクログ」の友達の☆ベルガモット☆の短歌が雑誌角川『短歌』の2022年12月号で2名の選者に佳作として選ばれたんだ。これだ❗

許されて基地内を行く車窓から眺めるゴルフ場の広さよ

角川『短歌』2022年12月号 角川文化振興財団

俺は知らなかったんだが、嘉手納基地の中には、ゴルフ場があるらしくて基地の中をドライブした時の景色を詠んだ短歌だそうだ。

なかなか経験出来ない貴重な体験を詳細に描写することで、特殊な場所が活かされている。よく読み込むと、「ゴルフ場の広さ」に心を動かされているベルガモットの気持ちも見えてくる。ベルガモット、おめでとう❗

じゃあ、今日もおすすめの本を紹介するぞ❗

木下龍也の第二歌集

こんな奴におすすめ❗

分かりやすくて、ユーモアのある短歌を読みたい奴

概要

テレビ番組「情熱大陸」でも取り上げられた今最も注目を集めている歌人、木下龍也の第二歌集だ。俺は、この歌集の前に彼の第三歌集を読んだが、今回紹介する第二歌集の方がユーモアをまじえたクスッと笑えるような短歌が多いと感じた。

年齢を重ねるに連れて歌風が少しだけ変わったのかもしれないが、どちらの歌集も最高に面白いことに変わりはない。そして、ほとんどの短歌が五七五七七の短歌の定型を守っているのでリズムがとても良く、短歌を作り始めた人の教科書としてもおすすめしたい歌集である。

では、短歌をいくつか紹介したい。

銀幕を膀胱破裂寸前の影が一枚ゆらゆらとゆく

「きみを嫌いな奴はクズだよ」木下龍也著(書肆侃侃房)

一瞬、何のことかと思ったが映画館で映画を観ている途中にトイレを我慢できなくなって出て行く人の影がスクリーンに写った、ということだろう。

この短歌を読むと、平凡な日常の風景も、言葉の選び方や、組み合わせ次第でいくらでも短歌の題材になるという事を感じさせてくれる。

後藤氏が壁にGOTOと書いた日の翌朝ぼくが付け足すHEAVEN

「きみを嫌いな奴はクズだよ」木下龍也著(書肆侃侃房)

後藤をアルファベットにすると、「GOTO」(ゴトウ)だが、その後ろに「HEAVEN」を付け足して繋げると、GOTO HEAVEN(ゴートゥヘブン)になるという、言葉遊びが面白くてとても好きな短歌だ。

初句を「後藤が」でも「後藤さんが」でもなく、「後藤氏が」としたところに著者の定型を守ろうとする意志も感じることができる。

もうずっと泣いてる空を癒そうとあなたが選ぶ花柄の傘

「きみを嫌いな奴はクズだよ」木下龍也著(書肆侃侃房)

この短歌を読んだ瞬間、空から花柄の傘を見ている景色が浮かんでとても感動した。空からの視点というのがとても斬新だ。物事をいろんな角度から見る大切さを感じた。

雨というバックバンドを連れてきたあなたの口が動きはじめる

「きみを嫌いな奴はクズだよ」木下龍也著(書肆侃侃房)

「雨」が「バックバンド」ということは、「あなた」はボーカルということだろう。何をいい始めたのかはわからないが、ライブが開演するみたいで想像すると面白い。

ダンボール一箱分を配り終え通行人に興味をなくす

「きみを嫌いな奴はクズだよ」木下龍也著(書肆侃侃房)

ティッシュを配るアルバイトをしていたのだろうか。「一箱分」がノルマだったのだろう。配っている間は必死になって通行人に渡していたのに、「配り終え」た途端に「興味をなくす」。

これは、世の中の様々なことにあてはまりそうだ。例えば、短歌を作っていなかった頃の俺は花とか空とかを見ても普通に綺麗だな、とかいい天気だなとか思うくらいでそれほどじっくり見なかった。それが短歌を作り始めると、花とか空以外にもいろんなことに興味が湧き始めた。

短歌に興味をなくす時が来るかどうかはわからないが、短歌はダンボール百箱分くらいの奥深さがあるような気がするから、当分はその心配はなさそうだ。

幽霊になりたてだからドアや壁すり抜けるときおめめ閉じちゃう

「きみを嫌いな奴はクズだよ」木下龍也著(書肆侃侃房)

一般的にはシリアスな存在である「幽霊」をユーモアたっぷりに詠んでいて、そのギャップが面白い。木下龍也は天使や死神とかについても詠んでいるが、リアリティを感じさせる短歌ばかりでとてもインスピレーションを受ける。幽霊についても、自由に想像して一度俺も詠んでみたい。

君という特殊部隊が突き破る施錠してない僕の扉を

「きみを嫌いな奴はクズだよ」木下龍也著(書肆侃侃房)

ポイントは「特殊部隊」だろう。「君」が「僕」にとっての特別な存在ということを巧みに表現している。2人の関係性を想像させるような奥深さと、ユーモアを感じることができる短歌だ。

まとめ

この歌集は、一ページに一首ずつ短歌が収められている。俺はなんとなくそれが、木下龍也の短歌に合っている気がしている。どの短歌も味わい深くて、一首ずつを時間をかけて読みたいと思えるからだ。

おまえも、この歌集を読めばきっとそう思ってもらえると思う。心からおすすめしたい歌集だ。

最後に

俺は昔から駄菓子が好きでよく食べるんだが、そんな俺がおすすめする2つの駄菓子を紹介したい。これだ❗

「フルタ製菓」という会社の「セコイヤ」と、「やおきん」という会社の「うまい棒 めんたい味」だ。

セコイヤは、サクサクとしたウエハースをナッツクリームとチョコで包んだお菓子でとても美味しい。

「うまい棒 めんたい味」は、数多くあるうまい棒の味の中で一番俺が好きな味だ。食べ始めると止まらなくなるほど、美味しい。スパイシーな食べ物が好きな奴にはたまらない味だと思う。気になった奴は食べてみてくれ。

じゃあな。

(次回は、4月30日(日)に更新予定)

2 件のコメント

  • 張飛さん、こんにちは♪
    産経歌壇、掲載おめでとうございます。
    毎回、毎回凄いですね!
    「うまく言えぬが」というところがいいなあと私は思いました。
    小島ゆかりさんの添削の素晴しさもよくわかりました。
    勉強になるブログありがとうございます!

    • まこと、ブログを読んでくれてコメントもくれてありがとう!

      この短歌は凄く言葉を悩んだから「うまく言えぬが」というところがいいと言ってくれて凄く嬉しい!苦労して作った甲斐があったよ!短歌もブログの文章もまだまだ拙いが、少しでも読んでくれるみんなが楽しめて参考になるようなブログにしていけるように頑張るぜ!

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