今回の山形・秋田の大雨で被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
まず、最初に2024年7月27日(土)の日本経済新聞の短歌投稿欄である日経歌壇(穂村弘選)に俺の短歌が掲載されたので紹介したい。日経歌壇には、約2カ月半ぶりの掲載である。ペンネームは石井啄也。これだ❗
白髪のギターリストが「薬指耐えてくれえ」と叫びつつ弾く
2024.7.27(土)の日本経済新聞の日経歌壇(穂村弘選)
俺は5月に、あるアマチュアバンドのライブをみに行った。そのバンドはメンバー全員が、見た感じ50代から60代という珍しいバンドだった。
ギターリストの人も白髪の男性で、ライブの最後の曲の前のトークで左手を見ながら「最後まで頑張ろうとは思いますが、この左手の薬指が耐えてくれるかどうか」とユーモアをまじえて話した。
その後、最後の曲を演奏しているギターリストは苦しそうだったが、とてもカッコよくて輝いてみえた。その感動を短歌にした。俺もああいうふうになりたいな、そう思いつつライブ会場をあとにしたのを覚えている。選者に、心から感謝したい。
さらに、嬉しいことに読書アプリ「ブクログ」の友達の5552の短歌が7月14日(日)の中日新聞の中日歌壇(小島ゆかり選)と、『NHK短歌2024年8月号』のお題「いってらっしゃい/いってきます」(枡野浩一選)に佳作として掲載されて、☆ベルガモット☆の短歌が『短歌研究 2024年7月号』に佳作として掲載(東直子選)された❗
まずは、5552の掲載された短歌を紹介したい。これだ❗
カフェインがゼロのやさしいお茶選ぶかなしいことはどこでも起こる
2024.7.14日(日)の中日新聞の中日歌壇(小島ゆかり選)
5552のコメントによると、この短歌は上の句(最初の575)が先に出来て、後から下の句(後の77)をひっつけた、とのこと。下の句の「かなしいこと」は身の回りに起こるすべてのかなしいことをあとからイメージしたらしい。また、「なんかいいな好きだな」と思って投稿したとのことである。
まことが、コメントしていたようにこの短歌を読んで、俺も5552が更にステップアップしそうな気がした。これから5552のこんな感覚の歌にも期待したいと思った。
父の音弟の音階段を降りる足音「いってらっしゃい」
『NHK短歌 2024年8月号』NHK出版
5552のコメントには、家族が2階から降りる音をきくと安心する、とあった。とてもわかる気がして、共感できる歌だなあと感じる。そして「オ」と「ト」が連鎖していて、暗唱性が高く、短歌が「短い歌」であることをあらためて感じさせてくれる短歌だと思った。
次に、☆ベルガモット☆の短歌がこれだ❗
信号の変はる際めに息をとめ君を見出したる交差点
『短歌研究 2024年7月号』短歌研究社
☆ベルガモット☆のコメントによると、横断歩道の向こう側の人のなかに知り合いを見つけたときの驚きと、嬉しさを詠んだそうである。
凄く交差点の光景が、目に浮かんでくるような短歌で特に「際めに息をとめ」というところが、交差点の一瞬をとても上手く表現していて「際め」「とめ」で韻を踏んでいるのもいいなあ、と感じた。
そして、なんと☆ベルガモット☆はXで選者の東直子からいいねをもらったらしい❗
あらためて、5552、☆ベルガモット☆、おめでとう❗
じゃあ、今日もおすすめの本を紹介するぞ❗
歌人、大松達知(たつはる)の第6歌集
こんな奴におすすめ❗
- フラットで淡々とした作風の短歌が好きな奴
- 英語の入っている短歌が好きな奴
概要
本書は、歌人大松達知(たつはる)の第6歌集。著者は、中学、高校に勤めている現役の英語教員である。
最初に、著者の短歌に出会ったのは『短歌タイムカプセル』 という短歌のアンソロジーで、それに掲載されていた著者の短歌が凄く面白くて気になっていた。歌人の穂村弘も著者の短歌を本やテレビで紹介していた。紹介していたのは、この短歌。
誤植あり。中野駅徒歩十二年。それでいいかもしれないけれど
『アスタリスク』大松達知著(コスモス叢書)
そして、読書アプリ「ブクログ」の友達のまことがこの歌集のレビューを書いていて、面白そうだと思い読んだ。
思想や激しい感情の高ぶりをあらわしたような短歌は少なく、比較的淡々としていて、かつ、ユーモアのある作風である。予想に違わず、面白い短歌が多く付箋だらけとなった。では、いくつか短歌を紹介したい。
特に印象に残った7首
春の日の水族館の水を見るように見ている歌集の余白
『ばんじろう』大松達知著(六花書林)
歌集を「水族館」に見立てた比喩が新鮮である。短歌は優雅に泳ぐ魚だったのか。
あすのぼくからの元気を借りてきてもう一杯のワイルドターキー
『ばんじろう』大松達知著(六花書林)
「あすのぼく」から「元気を借り」るという表現が面白くて、共感できる。明日はまだ、酔いが残っているのだろう。くれぐれも、俺のように酔っぱらって敵に城を奪われることのないようにしてもらいたい。
上の子と呼ぶことのなしこの先もずっとひとりのひとりの娘
『ばんじろう』大松達知著(六花書林)
昔、水槽に一匹で飼っていたベタという種類の熱帯魚を思いだした。
治ったらどこか行きたいところある? 訊いたとき父の目を見なかった
『ばんじろう』大松達知著(六花書林)
治る見込みがなかったのだろう。
窓枠があってもそれは窓でなし、ガラスだけでは窓ガラスでなし
『ばんじろう』大松達知著(六花書林)
「窓」の事を書いてるようで、それ以上の何かを表現している気がする。
花植えて木の実ひろって釣りをして、娘の暮らしゲームの中の
『ばんじろう』大松達知著(六花書林)
「ゲームの中の」を読むまでは、読者はリアルの話と思うだろう。語順がうまいなあ、と思った。
一時間半かけてようやく来た生徒 遅刻だぞって言ってなんになる
『ばんじろう』大松達知著(六花書林)
教員の目線から詠んだ短歌も多い。温かさを感じた。
まとめ
この歌集には、著者が2017年から2022年までに発表した短歌のなかから選ばれた597首が掲載されている。
あらためて、著者の短歌は面白いなと感じたし自分のこれからの作歌にも活かしていきたいと思った。
最後に
今、俺は山形文学講座(講師は、穂村弘)に参加するため夜行バスで東京へ向かっている。(東京からは新幹線)
今いるのは静岡県の足柄サービスエリア。
光栄なことに、今回の講座のテキストには俺の短歌5首も掲載されていて、講評してもらえる予定になっている。
誘ってくれたまことに心からは感謝したい。そして、少しでも参加できないみんなにも今日の雰囲気を感じてもらえるようなブログを8月4日(日)に更新したい。もしかすると、それ以前に更新する可能性もあるがその時はブクログの方に何か本棚登録をして、お知らせのかわりにしたいと思う。
じゃあな❗
(次回は、8月4日(日)に更新予定)
張飛さん、おはようございます♪
日経歌壇掲載おめでとうございます!
張飛さんの歌を拝見すると、歌の材料はどこにでも、あるのだなあと感じます。
それに気が付かない私は、なんて、バカなのだろう。最近歌が全く浮かばず困っています。
もう、新幹線に乗られたでしょうか?
お気をつけていらしてください。
今日の講座が楽しく、これからの糧になるものであるといいですね!
まこと、ブログを読んでくれたうえにお祝いのコメントもくれてありがとう!
俺もけっこう作れない時もあって、そういう時は上の句の575で景色を書いて、下の句の77で感想を書くという短歌の基本的な形で作るようにしてる!こじつけみたいな短歌になることも多いけど(笑)
今は新幹線に乗って人生初の東北に入っているぜ!まことも気をつけてな!山形のいろんな情報を教えてくれて本当にありがとう!今日はよろしくな!