ブク友ほむほむ短歌会 No.13

早速今日も、みんなの短歌を紹介していきたい❗️(写真は、文学フリマ大阪からの帰り道に撮影したUSJのホグワーツ城)

俺の短歌

最初に、2025年9月8日のラジオ深夜便「さいとうの○○」テーマ「指」(斉藤斎藤選)で、紹介された短歌を紹介したい。ペンネームは、石井啄也。

もし「二百四十の指」だったならあの映画を観てなかっただろう

NHKラジオ第一 ラジオ深夜便「さいとうの○○」

「あの映画」というのは、『二十四の瞳』という瀬戸内海の小豆島を舞台にした映画だ。戦争のある時代を懸命に生きる十二人の子供たちと、島の学校に赴任してきた大石先生の交流をえがく名作である。

十二人の子供のことを、『二十四の瞳』と表現したタイトルが好きで、もしそれが「二百四十の指」だったら誰も見ないだろうなあ、と思って作った短歌である。

この短歌は読んだ人に『二十四の瞳』の話だと伝わるかが不安でLINEで弟に短歌を送ったら、「二十四の瞳のことやろ。なかなかおもろいやないか」と返信があったので、安心して投稿した。弟にも、感謝したい。

次に、9月18日の産経歌壇(小島ゆかり選)に掲載された短歌だ。

悪口はいつでも油性 かんたんに水に流せず心に残る

9月18日の産経新聞の産経歌壇

この短歌は最初は、下の句に「水溶性の悪口はない」という言葉を入れようかと思って考えてたんだが、うまく上の句が作れなかったから「悪口は油性」と言い方を変えた。褒め言葉より、悪口のほうが記憶に残るような気がするから、作った。

最後に、『NHK短歌』2025年10月号のテーマ「ついてしまった嘘」(木下龍也選)に佳作として掲載された短歌を紹介したい。

「弾けるよ」とついてしまった嘘に約六十日後ぼくが追いつく

『NHK短歌』2025年10月号

この短歌は想像短歌だ。俺は実際は楽器が弾けない。ただ、いつも自分が大切に思っていることを短歌で表現できたと思う。

ここからは、みんなの短歌(NHK短歌の掲載歌は掲載ページ順)を紹介したい。

☆ベルガモット☆の短歌

まずは、9月14日にテレビ放送されたNHK  Eテレ「NHK短歌」題詠「旅」(萩原裕幸選)で入選歌として紹介された短歌だ❗️

パスポート更新用の撮影にしわ消し加工のオプションがある

NHK Eテレ「NHK 短歌」

次に、『NHK短歌』2025年10月号のテーマ「理科室」(永田紅選)に佳作として掲載された短歌だ❗️

満たされたメスシリンダーの水面は想いを告げる前の静けさ

『NHK短歌』2025年10月号(NHK出版)

最後に、『NHK短歌』2025年10月号の文芸選評短歌テーマ「戦後80年に詠む」(栗木京子選)に掲載された短歌だ❗️

サイレンが正午になれば鳴り響く南の島の慰霊の日には

『NHK短歌』2025年10月号(NHK出版)

ひろの短歌

『NHK 短歌』2025年10月号テーマ「デザート」(萩原裕幸選)に佳作として掲載された短歌だ❗️

こんなにも美しく三等分に切り分けられたショートケーキよ

『NHK短歌』2025年10月号(NHK出版)

まことの短歌

『NHK短歌』2025年10月号テーマ「理科室」(永田紅選)に、佳作として掲載された短歌だ❗️

顕微鏡覗くあなたの頭のつむじ予鈴が鳴るまで見ていたかった

『NHK短歌』2025年10月号(NHK出版)

5552の短歌

『NHK短歌』2025年10月号の文芸選評短歌のテーマ「土曜」(小島ゆかり選)に掲載された短歌だ❗️

マゼンタとシアンが空に溶け出して夕暮れとなる土曜の絵の具

『NHK短歌』2025年10月号(NHK出版)

あらためて、みんなおめでとう❗️

ブクログで紹介した本

最後に

先月の文学フリマ香川に、続き今月は文学フリマ大阪に行ってきた❗️

会場は、インテックス大阪。開始は12時でちょうどそのくらいの時間についた。驚いたのは、すでに何百人という長蛇の列になっていたこと。万博の影響もあるかもしれないが、参加者は去年より4割も多かったらしい。

会場のなかには、このように試し読みコーナーがある。ここで、短歌やエッセイを中心に読んで気に入った本を売っているブースに向かい、4冊購入した。今回は、お客さんが多くてブースの写真は撮れていない。ただ、作者の人と話はすることができた。

ここで買った本を紹介したい。

『もちもちおもち』ゆるもちゆ著

約25ページに、40首が収録されている。500円で購入。印刷製本は、しまや出版という同人誌専門の出版社。

Deleteと文字の入力繰り返し紙飛行機は押せないままで

何食べた?何時間寝た?きみのこと知りたすぎるよダムが決壊

香水を付けないきみにシャンプーのメーカーを訊くオタクでごめん

『もちもちおもち』ゆるもちゆ著

1首めは、この歌集で一番好きな短歌。メールなどの送信ボタンって、確かに「紙飛行機」のマークだ。この短歌が特に好きだと、著者に伝えると著者もこの短歌が気に入ってるそうで、とても喜んでくれた。

2首めは、「きみのこと知りたすぎるよダム」というフレーズが斬新で面白い。

3首めは、2首めの短歌とつながっている短歌だなあ、と感じた。

『空空空満満』村沫瞳著

56ページに、100首が収録されている。文庫本サイズの歌集。500円で購入。この歌集を購入すると「レ詩ート」という短歌が印刷されたレシートをくれた。面白いなあ。

妹の寝息は電気自動車の初動のようで不安になります

通学路なんて大人が呼んだからこの道以外全部寄り道

会えるとか会えないだとか本心は文面だけじゃよく聞こえない

『空空空満満』村沫瞳著

1首めは、この歌集で一番好きな短歌で、著者によると電気自動車の初動の音は「すーっ」と凄く静かな感じで、寝息がそんな感じだと不安になるらしい。凄く面白い比喩だなあ、と思った。

2首めは、「通学路」の話なんだけど、それ以上の話のような気もした。たとえば、他人からなんらかの嫌なレッテルを貼られる、だとか。

3首めは、最後の「聞こえない」がいいなあ、と思った。ふつうは「わからない」って書くところだと思うんだけど、たぶん心の声が「聞こえない」っていうことなんだろう。

『怪異短歌集ー百物語ー』小柳とかげ著

49ページに、百首が収録されている。1000円で購入。怪異短歌というコンセプトが面白い。

しまむらに出る幽霊はしまむらの服を着ていて笛靴の音

新人が勝手に通した『あの席』に座った人はそのまま消えて

壁じゅうのポスターの推し笑ってて真顔になった瞬間の悲報

『怪異短歌集ー百物語ー』小柳とかげ著

1首めは、この歌集で一番好きな短歌。しまむらに行くたびに、この短歌を思いだしてしまいそうだ。「笛靴」というのは、子供がよく履いている歩くと「ピー」という音がする靴。臨場感がある短歌だと思った。

2首めは、『あの席』に何があったのか想像がふくらむ。

3首めは、怖いをとおりこしてユーモアも感じる。「笑って」いる表情が「真顔」変わる動画を観ているような短歌。

『ヤマダさん、布団で寝てください。』リリー せんみ著

約25ページに、4篇のエッセイと著者同士の対談が収録されている。ヤマダさんという美術大学の技術職員をしていた人の話。ヤマダさんのキャラがユニークで面白かった。

文学フリマは今回も凄く楽しかったからまた、機会があればぜひ行きたい!

(次回は、10月26日(日)に更新予定)

6 件のコメント

  • 張飛さん、おはようございます♪
    「さいとうの〇〇」採用、産経新聞掲載、『NHK短歌』掲載、改めておめでとうございます!
    「さいとうの〇〇」の歌は弟さんに確かめてから投稿されたのですね。
    人によってはピンとこない人もいるかもしれないですね。
    二百四十本の指はちょっと怖いですね。
    産経新聞の歌は、心にざくりと突き刺さります。
    でも、私も人の悪口ついぽろっと言ってしまうことあります。

    私の歌の掲載もありがとうございます。
    三号続けて掲載されたので、
    もう、今年はないかもしれないです。
    今月はベルガモットさんのご活躍、『NHK短歌』入選が素晴らしかったですね!
    おめでとうございます!

    大阪のフリマも楽しまれたのですね!
    ゆるもちさんの『もちもちおもち』が素敵だなと思いました。
    フリマって本の中身を見てから買えるのですか?
    知らない歌人の方の歌は見てみないとわからないですよね。
    廉価な歌集ばかりですが、表紙が皆さん素敵ですね。
    張飛さんも作者の方にお話を聞かれて、歌集づくりの参考にされていらっしゃるのかなあ。
    と思いました。
    でも、私の全然知らない歌人のたまごの方がたくさんいらっしゃるのですね!

    • まこと、ブログを読んでくれたうえにお祝いのコメントもくれてありがとう!

      「二百四十の指」の歌は、自分は観た映画だけど観たことない人にはわからないかもしれないと思って、確認したんだ。また伝わるかわからない短歌はたまに弟に読んでもらおうと思ってる!
      産経新聞の歌は、自戒の歌として作ったんだ。俺も人の悪口を言ってしまうことがあるから、気をつけようと思う。

      3号連続掲載は、本当に凄い!無意識に韻をふんでるのは、リズム感がいいからじゃないかなあと思うよ!確か、『短歌ください』の解説で穂村さんがそんなことを言ってたと思う!今後も楽しみにしてる!
      ☆ベルガモット☆の入選も凄いなあ!とても触発をうけたぜ!

      『もちもちおもち』の著者の人はnoteの記事も読んだんだが、まだ短歌をはじめてまもないらしいが文学フリマに出たい一心で歌集を作ったらしい。行動力が凄いなあ、と感じた。
      文学フリマの試し読みコーナーは、中身が見れるようにカバーはついてないから自由に読めるぜ!
      確かに、表紙がみんなおしゃれな感じで手に取ってみたくなる!俺も、フリマで歌集を読んでると歌集を作りたい気持ちが高まってきたよ!手に入れた歌集の出版社のホームページなどを調べてる!歌集を作るのは短歌をはじめた頃からの夢だから!本格的に歌集づくりをはじめるときは、必ずこのブログに書かせてもらうよ!

      それと、もうひとつ感じたのは短歌の感想を伝えると、すごく喜んでもらえるということなんだ。だから、今回もいいと思った短歌のことを、著者の人に伝えたいと思ってたんだ。その短歌の制作過程を聞けるのも楽しい!
      また、来年できれば文学フリマに行きたいと思う!

  • 張飛さん、今月もすごい活躍!
    二百四十本の指の歌は投稿する前に弟さんにメールで見せたのですね。
    心強い味方ですね。
    木下龍也さん選の歌は、励まされます。
    昔、本屋でタイトルに惹かれて買った『人間は自分の考えてるような人間になる』という文庫本を思い出しました。

    ベルガモットさんも、すごい活躍でしたね。
    まことさんも、ひろさんも、NHK短歌に載ってて、お名前をみつけたとき、思わず「おおっ」と声が出ちゃいました。
    わたしの文芸選評の歌の紹介もありがとうございます。
    また、頑張ろうと思いました。

    文学フリマ、楽しまれたようですね。
    ゆるもちゆさんの歌三首はどれもかわいらしい恋愛の歌ですね。
    すっと共感できる比喩にくすぐったくなりました。
    小柳とかげさんの怪談歌集はこわくておもしろいですね。
    ホラーとお笑いは遠いようで近い、という文章を前読んだことがあって、小柳さんの短歌はそのバランスが絶妙だと思いました。
    歌集の夢に向かっていろいろと情報収集されているんですね。
    応援しています!

    • 5552、ブログを読んでくれたうえにコメントもくれてありがとう!

      弟には、たまにだけどLINEで意味がわかるかどうかだけ聞いてるよ!俺が考えてるのと全然違う答えがかえって来る時もあってそういうときは、作り直したりしてる!
      5552の紹介してくれた本のタイトルいいな!ブクログをはじめた頃に読んでた名言集もたしか、それにすごく近いことを言ってたような気がする。もう一回よんでみたい!

      ☆ベルガモット☆が入選したのを文学フリマに向かう途中に、☆ベルガモット☆のXのポストのテレビ画面の写真で知ってめちゃくちゃテンションが上がったよ!みんな凄い活躍で嬉しくなったぜ!

      ゆるもちゆは、まだ短歌をはじめてまもないらしいのに凄くいい短歌を作っていて驚いたぜ!5552が言うように比喩も共感できてロマンチックな感じでいいなあ、と感じた!noteのエッセイも面白いからこれからとても活躍するんじゃないかなあ、と思う!
      小柳とかげは、確かに怖いを突き抜けて笑いがでてくる感じがいいな!装丁もタイトルにめちゃくちゃあってる気がする!
      そういえば、オリジナルのポストカードも歌集に入っていて凄いなあと思った!第二歌集もたしか売ってたから、いつか読んでみたいなあ、と思う!
      俺も、歌集を作るために、コツコツ情報収集と短歌作りに励むぜ!

  • 張飛さん、今月も素敵な歌の掲載おめでとうございます!
    ブク友の皆さんの活躍も素晴らしくてお互いの作品を味わう素敵な時間が宝物です。
    指の調子が悪くてあまり多く書けないのですが、こうやっていつも愛情こもったブログを読むことができる幸せをかみしめています。
    今度福岡でも文学フリマがあるので楽しみです。
    いつもありがとうございます!

    • ベルガモット、指の調子が悪いにもかかわらずブログを読んでコメントもくれてありがとう!
      短歌くださいもそうだが、2回も入選できるなんて実力が相当ないと無理だと思うし、本当に凄いと思った!なんとか俺も頑張って良い短歌を作れるようになりたいなと思う!
      福岡の文学フリマもゆっくり楽しんできてくれ!
      指の調子も早くよくなるよう祈ってる!

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